アフォガート
雨空 凪
プロローグ
ポストに手紙が落ちる音がした。
「今日もまた仕事か」
青年はそう呟いた。コーヒーの匂いに満ちた開店前の静かな店内に言葉が消える。憂鬱な響きに空気がどこか淀んだような気がした。
青年はおもむろにメモを取りだし何かを殴り書いた。気怠げに。
次の瞬間、彼は消えた。
そこに代わりに現れたのは翡翠色の瞳の黒猫だった。
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