お医者様はなぜポケットに手を入れるのか? ある産婦人科医のお医者様編

お医者様はなぜポケットに手を入れるのか?


ゆっくり歩くため?

それともただのカッコつけ?

どちらの理由もあると思います

ただ

ある産婦人科医のお医者様は違いました

(⭐︎私は子宮筋腫の手術をしてもらうためにある大学病院の産婦人科医の先生に診てもらっていました)

このお医者様がポケットに手を入れていたときは

それは

「手術日前日」

そして

「手術についての話を患者にするとき」でした

私はくも膜下出血の治療で手術を受けましたが記憶がまったくありません

なので手術日前日というものがどのような感じなのかわかっていませんでした

ただ

この産婦人科医のお医者様の性格的に

きっと前日に病室に来て手術の説明をして

「安心させてくれるはずだ」

そう思っていました

そして

手術日前日

やはり思っていたとおり

産婦人科医のお医者様は病室に現れました

ところが

ところがです

病室に入ってきたのを見て私は喜んだのも束の間

すぐにガッカリさせられます

なぜなら

そのお医者様は「〇〇さん!」と別の患者さんの名前を呼んだのです

そして病室の入り口に立って<明日の手術について>長々と話し出されました

私の心は

「なんじゃそりゃー」って感じです

だってひどいと思いませんか

私だって明日このお医者様に手術してもらうのに

なぜこんなひどい差別を受けなければならないのか!

私にだって一緒に話をすればいいだけのことじゃないですか?

それをわざわざ私の目の前で別の患者さんにだけ「安心してくださいね」みたいな話をするなんて

「最低のお医者様だったな」と思いました

「あっちの患者さんはきっとお金持ちかそれとも自分のキャリアに箔がつく病気の人なんだな」

そう思いました

今こうやって書いていてもはらわた煮えくりかえってきました

私はお医者様が自分に話をしているわけじゃないので

お医者様ともうひとりの患者さんの様子を見ていました

患者さんは不安そうな顔でしたがお医者様に話をしてもらって心強く思っているだろうと感じました

そして

お医者様はというと

「うわー緊張してるなー」って思いました

笑顔が引きつっていました

無理やりな笑顔

でも

「患者を安心させよう」って必死だって伝わってきました

そして

1番気になったのは「手」です

話している間「手をポケットにずっと入れていた」のです

「緊張してるからポッケに手を入れてるのかなー」ってずっと見ていました

そんなことを考えていると

「こんなお医者様がひどい差別みたいなことするかな?」って思えてきました

「私はお医者様が入ってきたことに気づいたから私の名前を呼ばなかっただけかも?」

でも

やっぱりそう確信が持てなかったから

お医者様の話は全然耳に入ってきませんでした

だってもし違ってたら私ってバカみたいだし

でも

「私にも話してる?」という可能性は0%じゃない

だから

ベッドに入って座ろうかと思ったけどもうひとりの患者さんと同じように立ったままでいました

でも

私に話していないのに立って話聞いてるなんて思われたら屈辱でしかありません

だからお医者様の顔は見ずに顔を横向けて下を見ていました

もうひとりの患者さんはしっかりお医者様の顔を見ていました

「あーうらやましい」って思いました

だって私だってものすごく不安です

手術のしおりに「くも膜下出血を再発するおそれがある!」って書いてあったのです

私だって安心したい

私にだって話してほしい

それなのに

「ほんとサイテーなお医者様」

「手術前にこんなひどいことするー!?」

「ほんと気分悪い」

って

思っていました

そしたらです

そしたら

なんと

最後に

そのお医者様が

「ホオジロさんも明日よろしくお願いしますね」って言ったんです

なんじゃそりゃーって感じです

それなら最初に名前言ってくれよー

話全然耳に入って来なかったじゃんかー

マジ勘弁して〜

って

でも

ものすごく

「ホッとしました」

それと

手術なのに

お医者様が患者に

「明日よろしくお願いします」って言うなんてすごすぎませんか!?

ちょっと腹が立ったけど

この一言で

「やっぱりすごくいいお医者様だった」

「ま ちょっとダメなところあるけれど

でも必死で患者のために頑張ってくれている!」

「きっと私が話をしてもらえていないって思ってるってわかったから

あんなふうに最後に私の名前を呼んだのだろう」

「ちゃんと私のこと考えてくれたんだな」

思って<安心しました>

すごくいいお医者様です

だから

ほんと初日の診察の件が残念でなりません


話の内容は耳に入ってこなかったのでわかりませんが

ものすごく長い時間話してくださって

本当にいいお医者様だと思います

ただ

もう少し短くてもいいから

<ひとりひとりに話をしてほしいな>

と思いました

でも

そう願うのは

忙しいお医者様に負担でしかないのだろうか

とも思います



ホオジロ




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