自宅療養④ 二月始め 脳神経外科
診察室へと入ると、相変わらず気だるそうな感じで以前と同じ先生に挨拶された。
「はい、こんにちは。目の方どうですか?」
「いや、相変わらずって感じで……」
「ちょっと、状態みるね。このペンライト目で追って」
先生に言われる通りにペンライトを目で追う。それ以外にも、色々と簡単な検査を行なっていく。
「うん。あのね、目の上への動き良くなってるよ。眼瞼下垂も以前より開いてます」
「え、あまり自覚なかったですけど……」
「複視どう? この感じなら僅かながらでも、良くなってる気するけど」
「相変わらずありますけど、言われてみれば一番酷かった時よりはいいのかも……って感じです」
「あとは、神経って回復するのにどうしても時間かかるから。急激に良くなるパターンはあまりないからね。焦らず待ちましょう」
相変わらず気だるそうに話すけど、この先生の言葉で大分心は楽になったのを覚えている。
少なからず、診察をして僅かながらでも良くなっていると言ってもらえたことはとても嬉しかった。
「あの、内科の方でも言ったんですけど、口の方にも症状出てて。数口食べると、動かなくなっちゃうんですけど……」
「ご飯、食べれてない?」
「休憩繰り返しながら、ちょっとずつ食べてる感じで」
「あー、とりあえず食べれてるのね。そっか、そっか」
……また流された。とりあえず医者の判断基準は、食べれてるか、食べれてないかという点なのか?
まあ、確かに経口摂取出来ない状態でほっといたら死ぬもんな。食べれてるなら、とりあえずOKという基準なのだろうか。
「まあ、末梢神経系って本当にわからないこと多いんだよ。一箇所麻痺すると、色んな症状出ることも多いし」
「え? そうなんですか?」
「とりあえず気をつけてゆっくり食べて。飲み込む時にムセたりするようになったら要注意だからね」
なんか、こっちの先生のがまだいいな。
雰囲気やオーラはまだしも、ちょっと寄り添ってくれてる気はする。
ここで、少し話し逸れます。
後々の話で、私入院することになるのですが。色んな先生や看護師さんと関わる中で一番大切だなと思ったことは、信頼できるかどうかだと思います。
自分の話しをよく聞いてくれて、それに寄り添って反応をしてくれるか。誠実であるか。
これに尽きるかと。
(特に優しい看護師さんはみんな天使に見える)
はっきり言って、その先生が名医であるかどうかなんてわかりません。どの程度知識や経験を持っているかも、わかりません。
でも、丁寧な言葉を用いて反応してくれているか、適当ぶっこいた対応されてるかというのは何となくわかります。
一番近いからという理由で病院を選ぶ方もいると思いますが、重めの病気にかかった時は慎重に進めた方が絶対良いです。セカンドオピニオン大事にして下さい。
私は二つ目の病院で、こんなに対応違うのかと思い知りました。
ということで、戻ります。
「とりあえず、次の予約は……二週間後になってるね。また、内科受診後こっち来てね。薬は……あれ? 出てないね」
「内科では、もうだいぶ量飲んでるからビタミン剤くらいしか出せないって言われましたけど……」
「まあ、ステロイドってダラダラ使うものじゃないから減量するつもりだけど。でも、離脱症状とかあり得るから一気になくさないよ。錠数減らして処方しておきます」
おいおい、この病院大丈夫かよ。どっち信じればいいのかわからん。
先生によって方針違うのはわかるけど、こっちからしたら不安感しか産まれないわ。
でも、個人的にはこっちの先生の言ってることのがしっくりくるし、薬あった方が安心だから助かる。
「あの、仕事って……」
「できそう?」
「自信ないです」
「絶対やるなとは言わないけど、不安なら休んだ方がいいよ。無理すると回復遅くなるから。神経系の治療は療養だからね」
正直無理してでも、片目のまま復帰するか悩みどころだったけど先生の言葉を受けて療養を決意。
病院を出て、職場へ連絡。
状態改善されず、もう一週間お休みを伸ばしてほしい旨を伝える。相変わらず反応は優しく、「ゆっくり治しておいで」と言われる。
ありがてえ。
受診後、割と気持ちは楽になっていた。
その理由は、"一箇所麻痺すると、色んな症状が出ることがある"と先生に言われたこと。
全然無駄な思い違いで、重症筋無力なんかじゃないかもしれない。そう思うだけで、俄然と元気になった。本当に病は気からですね。
……まあ、重症筋無力なんだけど。
(ネタバレ)
次章!
無理して仕事復帰したら、救急車に乗せられ入院してたでござるっ! 乞うご期待!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます