初期症状 一月半ば

 なんてことない、普通の休日だった。

 朝起きてリビングに出た時に、視界に何か違和感を感じた。


 ……モノが二重に見える?


 ただ、それは少し目を慣らせば消失したし、"少し疲れているのかな"と思った程度で少し遠出して友達と遊びに出かけた。



 そして、また次の日。その違和感は、確実に強くなっていた。


 ……関係ねえ! 遊びに行くんじゃ!


 と、日頃から過酷な勤務だった為に奇跡的な連休を無駄にしたくないという思いから、無理矢理に遊びに出かけた。


 なんかおかしいけれど、運転中も違和感を感じるけれど、たぶんすぐ治る。

 大丈夫、大丈夫と言い聞かせながらあまり症状を直視しないようにしていた。




 そして、また次の日。


 ……あ、これやばいわ。


 モノが二重に見える症状は確実に進んでいて、鏡に映る自分が二人いた。

 今ならわかるけれど、この時すでに病気の初期症状である複視というものが起きていて確実な異常をきたしていたのだ。


 冷や汗をかきながらも、仕事を急に休む訳にはいかず無理矢理職場へと向かう。

 そして、タイムカードを切った直後同僚は俺の顔の異変に気がついた。


「なんか、右目おかしいよ。ちゃんと開いてないよ」


 そこで、私は初めて外見的にも自分の目の異常が起きていることを知る。

 結局鏡もしっかりと見ていなかったので、自分の目に何が起きているのかなんてわからなかったのだ。そして、目があまり開いていないという自覚症状もなかった。


「ものもらいか、なんかじゃない? 眼科行ってきなー?」


 と、同僚に言われさすがに受診を決意。

 "なんか変なバイ菌でも入ったのかな……。まあ、目薬もらって差しとけばその内治るだろ"

 なんて、この頃は余裕で楽観していた。


 そして、まさか自分が指定難病だなんて一ミリも思わず、近くの眼科へと午後に受診。


 この眼科でも、とりあえずなんとも楽観的な診断を下される訳なのだけれど……

 

 それは、また次回で



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