後輩ちゃんと一緒に作る理想の彼女

葉月琴葉

恋人づくりに協力してくれ

「あーー彼女欲しいよ!!」

 狭い部室に俺の声が反響する。

睦月むつき先輩…うるさいですね」

 叫ぶ俺を注意してきたのは、同じ部員の如月きさらぎ

「如月!じゃあお前は『彼氏欲しい』って思ったことねえのかよ」

 そう言うと如月は明らかに動揺した表情を見せた。

「べ、別に思ったこと無いですし」

「じゃあ何で動揺しているんだ?」

「こ、これは、あれです!読んでいた本の文体が美しかったので…」

 如月は近くにあった本の山から一冊取って俺に表紙を見せた。

「それカタログじゃん」

「ッん‼」

 如月はカタログを俺の顔面に押し付けた。最悪だ…ファーストキスが本だなんて。

「ッ…ありますよ、彼氏欲しいって思ったことぐらい」

 呆れた感じで如月は言った。

「マジ?」

「これじゃ私、先輩みたいな『性欲モンスター』になってしまう」

「ならんでしょ、そんなのには」

「むぅ」

 如月は、はにかみながら拗ねた。

「俺たち、意見が一致したな」

 最高だ、このと協力して俺は、年上で巨乳の美人で優しくて良い匂いがしてetc…な女の子紹介してもらえるぞ!!

「え?いや、それは心の準備が…」

 如月は携帯を片手に握り、毛を逆立てて明らかに警戒している。

「おいそこ通報しようとすな」

「だって先輩、私のこと犯すつもりでしょ?私、初めては好きな人が良い!」

「は?俺だって初めては好きな人が良いし」

 勢いで童貞宣言してしまった…絶対引かれた。

「っんん、だから、俺たちで協力して最高の彼女彼氏作ろうぜ」

 咳ばらいをし、俺は右手を如月に突き出した。

「は、はい宜しくです!」

 少し躊躇ちゅうちょしたが如月は俺の手を強く握ってくれた。女の子の手って柔らかくて温かいんだな。

「先輩、もう離してくれません?」

「っあ、ゴメン」

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