第四章 57  鍛錬鍛錬!竜王復活



 エリユズがルクス、サーシャと共に旅立って数日が経った。俺達は竜王様、ダカルー(ダカルハって言いにくいし、バハムルは名字だし、バハムートは長いのでこう呼んでいる)が元気になるまではギルドの依頼をこなしつつ(収入なくなるしね)、王様から貰ったかなりの報奨金やらアヤの為の嫁入りの資金やらと、相当の金額はあるけど…。それに頼っていると、モンスター女神に食糧費として全て持っていかれることになるからね。だからクエストをこなしながらアヤやディードの鍛錬。勿論帰宅しても地下の鍛練場で訓練。俺も含めてね。エリユズに最初に出会ってからの鍛錬を思い出す様な日々だ。

 アヤはまだしも、ディードの力の底上げは急務。レベル100程度では俺達の闘い、恐らく魔人相手にも勝てるかどうか微妙なラインだ。装備の御陰で補正値は上昇しているし、多少の無理も苦にはならない。アリアが自動回復オートヒール付きの寝間着や普段着も創ってくれているので、多少体を酷使しても翌朝に前日の疲れは残らない程スッキリなんだよね。そういうことで現在順調。今はアリアがディードの相手をしてくれている。



「ハッ!!」


 ドドドドッ!!!


「おっと」


 ディードの繰り出す突きを軽々と回避しまくるアリア。


「今です!」


 ギャリィイイイン!!


 最後に深く踏み込んだ突きを躱された瞬間に、レイピアが連接剣ウイップ・ソードへと変化! そのままアリアを搦め捕る様に巻き付く! お、上手いな。かなりモード・チェンジも上達している。


「捕らえた!」


 ガシャアアン!


 だが捕らえたはずの連接剣が地面へと落下する。


「なっ!? いない?」


「残像ですよー」


 背後にいつの間にか回り込んだアリアが右手のソードを振り被っている。


「シールド!」


 バキィーン!!


 躱されることを既に想定していたのか、ナックルガードの片翼が展開されアリアの剣撃を反射で防いだ! 後ろへと弾かれるアリア。やるなあー。だがアリアは着地と同時に次の攻撃へと移っている! この切り替えの速さ! アリアの怖いところは剣技や魔法の多彩さもあるが、どこからでも攻撃に繋いでくる連撃に手数の多さだ。


「くうっ!?」


 ギィン! ギギィン!! ガギギイン!!!


 レイピアに戻したライトローズ・ウイングで、アリアと超スピードで剣を交えるディード! やっぱり元々Aランクだったしなあ。こういうところの剣捌きや判断はしっかりしてるんだよなあ。


「(*´艸`*)ウフフー、成長しましたねーディード。まだまだ粗削りなものの、魔力鎧装も纏えるようになってますしねー」


 余裕ぶっこいてやがるなあー、このポンコツは……。


「くっ! う、ぐっ! 皆様の、ご指導の! 賜物ですっ!」


 ギィン!


「ハッ!」


 最後の衝突から距離ができた。その瞬間鍔の薔薇でブーストされた魔法が撃ち出される!


 ギキイーン!! ドドドドドッ!!


 漸く身に着けた無詠唱、そして逆属性の小さく形状を変化させた大量のアイスランス凍結槍がアリアを襲う!




「ディードはやっぱり自力でAランクまでいっただけあって、センスがあるよねー? 飲み込みも早いし」


 一緒に見学していたアヤが口を開いた。


「そうだなあ……。あの二人より飲み込みのスピードはかなり早いな」




「えーい!」


 ボボボッ!! ドドオオーン!!!


 ふざけた掛け声を発して、同様にアリアが小さく圧縮変化させたファイアランス炎の槍がぶつかり合い、相殺される。その爆発に紛れて、またしてもディードの後方へと移動するアリア。


 ジャキッ!


「ここです!」


 アリアが回り込んで来た空間、そこへ既にディードはレイピアの剣先を置いていた。それがアリアの顔前に突きつけられる。


「あちゃー、これは一本取られましたかー?」


「はい、勝負アリ! アリアの負けー」


「ふぅー……」


 緊張感が解けて、大きく溜息を吐くディード。


「ええー、まだこれからですよー」


「うるさいぞー。ディードが突きを放ってたらお前の顔に穴空いてたろ? 手加減してたとはいえ、負けは負け。ディード、お見事だったな」


「うんうん、アリアさんから一本取るなんてウチのメンバーでは初めてじゃないのかなー?」


「いえ…、此方に合わせたレベルで手合わせして頂いたのです。本気で立ち合えば一瞬で死ぬでしょう。魔力鎧装まりょくがいそうも長く維持ができませんし、武器も連接剣ウイップ・ソードはまだまだですね。魔力コントロールの練度を向上させないと…」


 そうは言いながらもスッキリと充実した表情をしている。自分なりに手応えを感じているのだろう。こんなに勤勉でセンスもあるのに、エルフの里では酷い扱いだったとは…。そいつらの目は節穴だな。


「むー、まだまだこれからだったのにー」


 こいつはまだ駄々を捏ねている…。子供か?


「はいはい、ならアリア次は俺の番だ。二刀流の練習、付き合え」


「えー、もうお腹が空きましたよー。カーズはもうかなり使えるようになってるじゃないですかー。あなたの相手は駆け引きでかなり振り回されるから今はしんどいですー」


「はあ…、仕方ないなあ。でもお前じゃないと相手できないだろ? 我慢しろよなー」


「お主らはいつもこんな命の削り合いの様な稽古と言うか鍛錬をやっておるのか……? いやはやとんでもない人族もいたものよなあ」


 漸く首輪の後遺症も抜けて元気になってきたダカルーが、今日の鍛錬を見学しに来ている。多少力も戻って来たようで、小さな女の子の様な姿からは成長した見た目、まあ中学生くらいかな? それくらいまでにはなっている。普通に動き回れるようにもなってきたので、色々と少しずつだが話もしているのだ。


「まあな、これくらいやらないと魔人は兎も角、堕天神共とはやり合えない。あそこまで追い詰めたのにルシキファーレにはトドメも刺せなかった。地道に鍛錬するしかないんだよ」


「なるほどのう……。儂もあの闘いは朧気ながら覚えておるしの。儂の里を襲撃したのはバアルゼビュートと名乗っていた。皆無事だといいのじゃがな……」


「あいつら封印の術で力を吸われたはずなのにあの強さだったしなあ。堕天神とは言え、神自らが攻めて来るとは…、どうしようもないな…」


「いや、儂ら竜王の里の龍人族は世界の観測者としての役割も担っておる。小さいながらも神格を有してもおる。初代竜王の儂は神にも匹敵する神格を持っておるしのう。だからこそお主の神気に共鳴して、あの時は目が覚めたのじゃからな」


「マジか…。でも初代ってことは次代の竜王がまだいるってことか? 道理でアリアとも面識があるはずだよ。でもそれでも操られたってことは相手は相当だな…。無事だといいんだけどな…」


「まあそこは手を打っておいた。して特異点のカーズよ、折角だし儂が相手をしてやってもよいぞ」


「え? いいのか? でもまだ力が戻ってないんだろ? 無理しなくてもいいし、武器はどうするんだ? 素手か?」


 まさかRPGの最強のドラゴンと闘えるとは…、これは武者震いが止まらないな。


「龍人族は格闘術と魔法をメインに闘う。竜化もあるし、武器は使わん。格闘に向いた武器があれば良いがのう…。カーズよ、お主は色々とイメージで武器を創造出来るのであろう? そこの特異点アヤの持っておる魔法を発射する武器に、エルフの小娘のレイピアといい、実にユニークな発想じゃ。良ければ創ってくれぬか? 褒美ははずむぞ。儂の豊満な肉体を堪能させてやってもよいぞー」


 こういう発言は止めて欲しい。アヤに何故かディードからも槍の様な視線が突き刺さるんだよな…。


「合法ロリのじゃばーちゃんのそれは遠慮しとく。ただでさえ女性比率高くてギルドで『美人ハーレム野郎』とかって弄られるんだよ。うーんそうだな、アリアのドラゴングローブは単発の威力はデカいけど、連続で攻撃を組み立てるには向かないからな…。あいつも武具創造はできるけど自作の武器が強すぎるから、わざわざ使わないんだよな。まあまた何かしら考えておくよ」


「合法ロリのじゃ? とはなんじゃ…? まあよい、体術なら手合わせしてやってもよいぞ。儂も寝込んでいたせいで鈍ってそうじゃしのう」


 聞いた話では、身に着けている黒い着物は龍人族の特別製らしい。竜化の際は神格に収納される、強靭なドラゴンの鱗で構成されている一品だということだ。自らの鱗と調和し、防御性能も高く、自動修復するとか。また常識が通用しないものが出て来たなあ。うん、気にしたら負けだ。


「よーし、なら体術で勝負するかばーちゃん。危ないから攻撃に神気はナシな」


 ドラゴングローブに刀剣類を解除する。


「ばーちゃんはやめんか。そうじゃのう、神気は無闇に使うモノではない。じゃがお主の妻には神格の扱いを教えるべきであろうな。のう、アリア様?」


「うーん、確かにそうですね。そろそろ使いこなせないとマズイ気はしますねー。ではアヤちゃんは神格の扱いを学ぶことにしましょうか。神衣カムイを纏えるかは心と魂の強さによるでしょうが、先ずは神格を解放し爆発させることができる様に鍛錬しましょう」


 ということでアヤは神格の解放をアリアから指導されることに。俺はダカルーばーちゃんと体術の稽古。ディードは一番頑張っている為とりあえず休憩だ。もうレベルはPT入りしたときからこの短期間で、恐らくエリユズのヤヴァイ修行の経験分も入っているのだろう、300は超えた。そして恐るべし超成長の恩恵。あいつらも相当しごかれているんだろうな…。


 ザッ、ばーちゃんと武術らしくお辞儀をしてから構える。ダカルーは腕を組んで立っている。何だこれ? これが構えなのか…?


「構えないのか? それともそれが構えなのか?」


「フッフッフ…。若いのう。まあ来るがよいぞー」


 何があるんだ? 俺は素手の格闘技に関しては、スキルはちょくちょく使用するものの、雑魚犬相手に一戦しただけの、まあ素人だ。折角だし色々とガチンコで学ばせて貰おう。ばーちゃんのレベルは2570、俺より少し上だ。さすが竜王、ならば遠慮はナシ! 正面からぶつかるのみだ!


「いくぜー!」


 ダッ!


「おりゃあっ!」


 正面から腕組みをしている部分に左拳を撃ち込む!


 パアン!! ズザッー!


いたたっ!」


 腕組みした状態から、凄まじいスピードの掌打が顔に飛んできた。後ろへと弾かれる。


「どうした? 儂はまだ動いておらんぞ」


「なるほど…、高速の掌打か。それを繰り出すための構えということだな」


「ほう…、一度でよく見抜いたのう。だがこの構えを崩さんと儂に攻撃が届かんぞー」


 近づくとあの掌底に撃たれるのか。まあいい、先ずは連打で崩せるか試す!


 ザッ!! ドドドドゴオンッ!!!


 もう一度踏み込んで、拳で連打を撃ち込む!!


 パパパアン!!! 


いてっ、いててっ!」


 速い、防御と攻撃が同時に展開される。こいつは厄介な構えだな…。


「ほれほれーどうした?」


「よーし、ならばこちらも神速の拳を繰り出すのみだ! いくぜ、アストラリア流格闘スキル!」


 カッ! バアアアァーーン!!


メテオ・ディストラクション・フィスト流星破砕拳ー!!!」


 音速を超える拳撃の連打に、繰り出した拳から魔力と闘気の衝撃波が放たれる!!! 立ちっぱなしじゃいられないはずだ!


「く…、おおおおー!? ハアアッ!! 龍掌底波りゅうしょうていは!!」


 バチィッ!!!


 両手を前に突き出した掌打で相殺された。だが厄介な構えは崩した、ここからが勝負!


「やりよるのう。この構えを解かせるとは!」


 一気に距離を詰め、眼前で軸にした右足が地面にめり込む程の遠心力を加えた左脚での回し蹴りを撃ち込む!


天馬絢舞脚てんまけんぶきゃく!!!」


 ドゴォッ!!


 両腕を交差させて防ぐダカルー。だが体格差で後ろへと吹き飛ぶ!


「ぐっ、何という威力!?」


 フッ! 吹き飛んだダカルーを待ち構える様に背後へと転移、そこから前方へ前中した縦回転の遠心力を加えながら放つ、上から叩き付ける様なかかとでの一撃!


ユニコーン・ヒール一角獣の踵蹴り!」


 ガゴォッ!!!


「うぐっ!!」


 ヒットしたが、しっかりと腕で防御されている、さすがだ。だが衝撃は伝わった、まだまだ続くぜ!


 ガッ! そのまま防御している腕を掴み、姿が見えなくなる程上空へと渾身の力で投げ飛ばす!!!


グリフォン・フラップ神獣の羽撃たき!!!」


 ドオオオオオーン!!!


「くおおおっ、これはあー…っ!? 身動きが、取れんとはっ!?」


 投げ飛ばすときに自由を奪う為に体内へと魔力を撃ち込んでいる。このまま地面へと叩き落す技だが、この状況は格好の的だ! おまけだ、いくぜ! 両手に込めた闘気、闘気とは物理的なエネルギー、魔力とは異なる闘いの中で生み出される闘志から放たれるエネルギーのことだ。その闘気を龍の口の様に合わせ形どった両掌から撃ち出す!!!


ドラグ・スレイヤー龍殺砲!!!」


 ゴッ!!! ドゴオオオオオ!!!


 極大のエネルギー波が竜王を捕らえる!


暴風龍壁ぼうふうりゅうへき!!!」


 ゴゴゴゴオッ!!!


 ドラグ・スレイヤー龍殺砲のエネルギーを裂き割る程の球状の暴風壁が展開された。よく見ると背中に竜の翼が出現している。あれでグリフォン・フラップ神獣の羽撃たきの圧力から抜け出したのか。


「カーズよ。やはりお主は凄まじいのう…。神格を有しておるとはいえ、竜王の系譜の一族、その初代竜王とここまで同じ土俵で闘える人族など見たことがない。その闘志に敬意を表して竜王の奥義を見せてやろうかのう」


「ありがとよばーちゃん、だったら受けて立つぜ」


 凄まじい闘気が竜王の上にかざした右掌に集まっていく!


「ゆくぞ! 受けよ龍神の息吹を! ダハーカ・ブレス!!!」


 ドゴウッ!!!


 空中から撃ち出されたのは極黒に輝く闘気のエネルギー砲! 鑑定、やはり物理的な力だ。これはスペル・イーター魔力食いでは吸収できない! そしてこの規模では回避も間に合わない!


「ちっ、こいつはヤバい! 神格・神気解放!! 多重神気結界!!!」


 ドゴオオオオオオオオオ!!!


 さすがにまともに喰らったら致死ダメージだ。神気の結界にも亀裂が入っている。破壊されはしなかったが、俺が展開した結界の周囲は巨大な底のない穴がぽっかりと空いている…。これはクラーチ王国での大魔強襲スタンピードのときの『アリアホール(現在観光名所)』に匹敵する威力だ。神気を解放されて撃たれていたら消し炭になっていたな…。


「参った。神気を使った時点で俺の負けだ。すげえなー、ばーちゃん」


 ゆっくりと隣に降りて来るダカルー。そしてこの謎空間の地面が再生されていく。マジで何だよこの原理…。


「ふふふっ、そうじゃろう? 崇め奉れよ、若人よ」


「でもまた縮んだな…。折角回復してたのに」


 また子供のように縮んだ。それほどのエネルギーを放ったってことか。


「あああー! しもうたー、つい夢中になって…。カーズよ、最早首輪の後遺症はない。儂にありったけの回復魔法をかけよ!」


「わかったよ、ヒーラガ×3! それとマジック・トランスファー魔力・MP譲渡!」


「お、おおお! お主の魔力量はやはり凄まじいのう…。元の姿に戻れたぞい」


 一瞬で大人の姿にまで戻った。確かに黒髪和風の雅な美人だな…。これは確かに普通の人なら見惚れるかもしれない。


「どういたしまして。あー俺も疲れた。まだまだ体術は鍛えないとだなー。課題が増えたぜ」


 ディードが見学している寛ぎスペースへと戻った。因みにここには稽古の余波はまるで飛んで来ない。結界と空間をここだけ切り離した別の次元にしてあるとか、謎過ぎる。


「とんでもない立ち合いでしたね…、お二人共」


「いや、俺の完全な負けだよ。最初の貫き拳の時点でスキル撃たないとどうしようもなかったしなー」


「まあのう。アレを崩せる技を放てることが驚きじゃがな。気が向けばまた相手をしてやろうぞ。儂は疲れたのでひと眠りしてくるぞい」


 回復させたのに…。階段を上がって自室に行ってしまった。


「とんでもないばーちゃんだぜ。さすが竜王。しかもダハーカって龍神とも最強の魔神とも言われる神話のアジ・ダハーカってドラゴンだ。それに似た名を名乗ってるんだしなー、そりゃ化け物だわ。アレ? 悪魔だっけか? ゾロアスター教の最強最悪のドラゴンだった様な…うーん。まあいいか」


「はあ…、そうなのですね…。カーズ様がそこまで言われるとは…。わたくしには全く理解が及ばないレベルの立ち合いでしたが…」


「大丈夫、ディードは飲み込みも早いし、すぐに嫌でも化け物とか言われるようになるさ。あのエリユズを見たろ? あっ、アヤの神格の状況は?」


「ええ、…中々難航しておられるみたいですね…」


 俺は最初から神格が備わっていたからな。認識するのも解放するのも自然とできたし難しくもなかったが…。急に与えられると扱いが難しいのかもしれないな…。感情の爆発が鍵とか言ってたが…、アヤは基本的にそんなに感情を爆発させる様なタイプじゃないもんな…。


「あのー、カーズ様。お客様がいらしているのですが…。こちらへお通ししても宜しいでしょうか?」


 そんな風に考えていると、ククリが地下室へと降りて来た。


「お客? そんな予定あったかな?」


「女性がお二人なのですが…。一名の赤毛がかった黒髪の方が…、何と言いますか…アヤ様によく似ておられまして…」


 何だそりゃ?


「うーん、まあいいよ。案内してあげてくれ」



 そしてククリが連れて来たのは、長いウエーブの掛かった輝く金髪、妖艶な雰囲気の派手目な女性と、質素なデザインの冒険者の様な装備をした毛先が赤毛かかったセミロングくらいの黒髪の女性。額には金の鉢金はちがね、背中には大きな弓、腰には長剣、中々の業物だ。確かにアヤに似ている。そして二人から神格の鼓動を感じる。金髪の女性は間違いなく神だな…。ゼニウスの言ってた増援ってことか?


「はじめまして。あなたが特異点のカーズね? 私は月の女神アルティミーシア、ティミスと呼んで頂戴。そしてこの子は月の民のアガーシヤ・ルーナ。あなたの魂の子孫ということになるのかしらね?」


「アガーシヤ・ルーナと申します。以後お見知りおきを」


 礼をするアガーシヤを名乗る少女。


「は、はあ…? 魂の子…? しかもアガーシヤって…。あ、取り敢えずアリアを呼ぶよ」


 こちらに気付いていないアリアとアヤに念話を飛ばす。


(二人共、客だ。取り敢えず来てくれ)







 この子が一体何者なのか…、俺達はこれから衝撃の事実を知ることになる……。








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さてさて何がわかるのかな?


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