彼女はリアルドール
Hiroe@七七七男姉
彼女はリアルドール
いつもと何ら変わらぬ朝のことです。
「…土岐雄くん〜、起きてくださいな〜。ねえ、土岐雄くん〜…」
との声で、はたと目を覚ますなり彼は、
「うわっ…!」
思わず小さく叫んでしまいました。
やけに美しくも、やたら無表情な女の顔が、しかも
「あ、なんだ史都ちゃんか。びっくりしたー」
なんて、布団を退け退けベッドから身を起こしたハンサムガイは、
そして、
「ごめんなさいです、土岐雄くん〜。いつも驚かせて〜」
花柄おうちワンピの上からエプロン姿。ベッドの脇で何やら謝罪する、おかっぱロングヘアにパッチリお目々の彼女は、その同棲相手の
「いんや、こっちこそゴメンね。もうすっかり見慣れたはずが、やっぱりインパクトが強過ぎて、つい…」
だそうですが…まあ、土岐雄が驚くのも無理はないかも知れません。
なにを隠そう、この楠史都は、人のようでいて人にあらず。かつて事故で亡くなった若い娘の霊を宿す、等身大のリアル美少女人形ですのでね。
ええ、どうりで無表情かつ『うらめしや〜』みたいな、
ちなみに、こうして身体は動かせても、口は動かせず。よって直に声を出すことも出来ないので、
さて、そろそろ支度しないと、会社に遅刻しますぜ。土岐雄くん。
そういえば彼は、かつて大学在学中に友人ともども立ち上げた、等身大ドール製造販売会社の、開発部長の座にあります。
高校生の時にクラスメイトだった史都を、同じく人形と知りつつ好きになって以来、
かたや史都はといえば、作家の父、楠帝都の影響によって自らも、その父のような作家を目指して修行中の身。この
ともあれ、やがて洗面、朝食、着替え等を済ませるや土岐雄は、行ってきますの
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