清楚系美人な同級生を助けたら病んで「子作りがしたい」と寄ってくるようになった件
さい
第1話 殺人犯から守る
身動きが取れない。
両手首はガムテープで巻かれ、口もまたガムテープまでで巻かれている。
ああ……。
私、こんな人に犯されるんだ。
全てを悟った。
「俺は終わりだ、だから、せめて最後に女子高生を犯してから捕まってやる……」
スカートは外され、バリバリとタイツが破れる音がする。
騒ぐ力はもうない。
どちらにしても、ここは廃墟ビルの中、誰も助けにきてくれることなどない。
犯されるんだ。
もう、涙も出ないや。
はあはあ、と息が荒い男性。
下腹部に男性は顔を近づけた。
気持ち悪い……。
「──っ///」
だと言うのに感じてしまう自分が気持ち悪い。
「溢れてるねえ、いい匂いだ……生でいいよな。お前も壊れてる様子だし、もうどうでもいいだろ?」
嫌だ……。
誰か、助けて。
男性はチャックをおろした。
「とりあえず、咥えてくんねえ? お前ばっかり気持ちよくしてもらってズルいじゃん?」
と、その時だった──。
「うおおお──ッ!」
私と同じ、富士原高校の制服を身につけた一人の男子高校生が現れ、男性の顔面をおもっきりぶん殴り。
「くたばれ、犯罪者あああ──ッ!」
男性の股間を思いっきり蹴り上げた。
「あ、これ、どうぞ」
と、ブレザーを脱ぎ私に被せた。
彼が私にはヒーローに見えた。
○
「最近ここいらで殺人犯が身を潜めているのは知ってるよな? 最低でも二人で帰るように!」
担任の笹瀬先生がそう言う。
最低でも二人……友達がいないぼっちの俺はどうすればいいのだろうか。
友達がいれば誰かと帰るが、そうでなければ必然的に一人になる。
しっかし、最近は物騒だ。
白池宮藤次という殺人犯がここいらに潜伏しているとのことだ。
いや、こっわ!
放課後になると、すぐさま俺は教室を出る。
部活に所属している者はみな、部活へと行く。
俺には所属していないため、関係のない話だ。
まあ、別に一人で帰るのは俺だけではない。
事実、目の前には星奈香澄という清楚で美人な同級生が歩いている。
同じクラスだが、その美貌とスタイルから同級生なら知らないものなどいない、いや、校内で知らないものなどいないと言ってもいいレベルの有名人だ。
彼女もまた、俺と同じく部活に入ってはいない。
ただ、大きく違うのはぼっちではないところだ。
この見た目だ、周りにはたくさんの人が寄ってくる。
富士原高校は部活がとても豊富なところであり、入っていない人など一学年に数人だ。
なぜ彼女は部活に入っていないのか、俺からすると不思議なわけだが、今日はどうやら他のメンバーは部活らしく一人で帰る模様だ。
星奈さんは好きでぼっちをやってるわけじゃないんだよな……。
はあ、人生など所詮ガチャだ。
顔なんだよなー。
彼女とは帰り道が一緒だ。
俺は中学までぼっちだったため、少し遠くの自分の知らない人しかいない高校に通い始めた。
両親からの提案だ。
めちゃくちゃ恥ずかしかった。
そのため、今は一人暮らしをしている。
にしても、星奈さんって本当に美人だなあ……アイドルより下手したら上じゃねえか、これ。
全てはここから始まった。
星奈さんが曲がり角を曲がり、俺が曲がるとすでに姿が見えなくなった時だ。
「……え?」
たった、数十秒の出来事だった。
いつも歩く真っ直ぐな道に彼女の姿がなかった。
「や、やめて……」
左側からボソボソとした星奈さんの声がする。
慌てて、見ると一人の汚れた工場服を身につけた一人の男性── 白池宮藤次に口を塞がれ、連れてかれている星奈さんが……。
「……まじかよ」
身体中が恐怖で震え出す。
「本気で言ってんのかよ……ガチかよ。嘘じゃないのかよ……」
どんどんと奥へ進んでいく二人。
確か、この先には立ち入り禁止の廃墟ビルがあったはずだ。
もしかしたら、そこへ向かうのかもしれない。
助ける……。
「俺にできるか、そんなこと」
無理に決まっている。
相手は殺人犯なのだ。
この俺が勝てるはずがない。
かといって、ここで見て見ぬふりをするのか。
二人の姿が見えなくなった。
「そうだ、警察に……」
ポケットからスマホを取り出して見たが。
「くっそ!」
バッテリーはゼロだった。
「……どうする」
選択肢は二つ。
助けに行くか、見て見ぬ振りをするか。
汗が身体中から溢れ出す。
相手は殺人犯だ、俺が行ってなんとかなるのか。
「……なんとかならないよな」
諦めよう。
俺には何も……。
グッと、拳をつくる。
「いや、助けるだろ」
ぼっちだから仕方ない、俺はいつもこの言葉で逃げてきた。
「逃げてばかりじゃダメだろ……」
そんな、自分が俺は嫌いだった。
「情けねえよ、俺……」
変わるなら、今なのかもしれない。
正直、俺は星奈さんが嫌いだ。
あんな努力しないで顔とスタイルだけで勝ち取った人間が嫌いだ。
でも。
「殺人犯だからどうした。そんな肩書より、ぼっちの方が上だろ!」
俺は全力で走り出した。
こう見えて運動はできる。
なんなら、筋トレを毎日しているためかなり身体には自信がある。
目指すは廃墟ビルだ。
「今行くから、星奈さん!」
スクールバッグをその場に捨て、両手を振る。
廃墟ビルについた。
中に入る。
やはり、そうだった。
いた!
「とりあえず、咥えてくんねえ? お前ばっかり気持ちよくしてもらってズルいじゃん?」
制服を脱がされ、下着姿の星奈さんの上に跨り下腹部を星奈さんに近づける白池宮藤次。
その光景はもうレイプさながらだった。
少しずつ、近づく。
気づかれないように。
不意打ちでやれるように。
ドクドクと心臓がうるさい。
そして、俺は拳を白池宮藤次に向かって振り下ろした。
「うおおお──ッ!」
見事、白池宮藤次の顔面に拳がぶつかった。
思いっきり振り切る。
「ぐっ!」
と、倒れる白池宮藤次。
「くたばれ、犯罪者あああ──ッ!」
続いて白池宮藤次の股間を思いっきり蹴り上げた。
星奈さんと目が合った。
虚な目をしていた。
そうとう傷ついたのだと一瞬でわかった。
このやろう!
「あ、これ、どうぞ」
ブレザーを脱ぎ、星奈さんに渡す。
「…………」
無言で自身の身体に纏う星奈さん。
可哀想に。
「うおおお──ッ!」
何度も、何度も、白池宮藤次の股間を蹴った。
「この変態やろーめ、お前の息子をもう使えなくしてやるううう!」
とにかく蹴り続けた。
ざっと、三十回ほど。
「……はあはあ、大丈夫ですか星奈──」
星奈さんの方を振り向くと、下着姿の星奈さんが俺に抱きついてきた。
そして、そのまま俺を倒し、上に跨った。
「はあはあ……このご恩を身体で払わせてください……」
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