長距離走みたいな人生

桜森よなが

プロローグ 苦しいだけの人生

 僕は今1500メートルを走っている。

 辛い。

 苦しい。

 なんで僕はこんな思いをしてまで走っているんだろう?

 なんで僕は陸上部に入ったんだろう?

 長距離走なんて辛いだけじゃないか。


 馬鹿馬鹿しくなって、僕は走るペースを緩めた。

 もう辛いことはたくさんだ。

 苦しんでまで結果を出すことの意味が分からなかった。

 努力をするのが面倒くさい。

 どうせ天才には勝てないんだし、こんなに頑張る意味なんてないじゃないか。


 昔の僕は、もっと真面目だったような気がする。

 いつからだろうか、こんなふうに考えるようになってしまったのは。


 僕はいつのまにか、長距離を走ることに魅力を感じられなくなっていた。

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