ギャルゲーの最強皇太子に転生。 地獄しか待っていなかったのだが?

あとら

プレイ中だったギャルゲー世界に転生?最高じゃねぇか!

 俺はどこにでもいる社会人5年目の社畜だ。

 俺の会社は超がつくほどブラックで、上司からのパワハラ、毎日三時間以上の残業、ちなみに残業手当てはなし。控えめに言って鬼。

 きっとこの会社は俺を殺す気だ。そんなことを思いながら、重い足取りで駅まで向かう。


 だが、ブラック企業に就職し、人生終わったような顔をしている俺にも、唯一の楽しみがあった。




 ギャルゲーである。




 ギャルゲーと言っても、俺が今プレイしている「魔法学校の淫らな令嬢たち♡」は少し特殊で、男主人公視点と女主人公視点がある。


 男視点だと、自分が皇太子となり、可愛い令嬢を何人も侍らせ、ほぼ毎日淫らな行為を…。


 女視点だと、高位の貴族令嬢となり、可愛い令嬢たちとあんなことやこんなことをしているシーンを見られる…


 簡単に言うと百合ルートがある、ということだ。


 俺は完全に百合ルート目当てでこのゲームを買った。


 ストーリーも絵も声も完成度が高く、初めてプレイしたときは死ぬほど驚いた。


 今日も家に帰ったら「まほみだ」をプレイする予定だ。




 ルンルン気分で駅に向かい、信号を渡ろうとする。


 その瞬間俺は、目の前から走ってきた車に轢かれた。


 ……いや呆気なくね?俺の最後。まだ推しキャラのルート攻略できてないんだが。


 死ぬ前に考えることがギャルゲーのことしかないなんて、俺も悲しい男だな。


 来世はハイスペック男子になれますように。


 ついでに女子からモテモテになれますように。


 そして俺は、いつの間にか意識を失っていた。




 一体これはどういうことだろう。


 車に轢かれたかと思いきや、目を開けるとそこには優しそうなお姉様!


 どうやら俺はこのお姉様に抱っこされているらしい。


 目の前にある、このたわわな…いやいけん!ダメだこんな事考えては!


 しかし……どうやってもニヤついてしまうだろう。こんなの。けしからんボディだ。


 それにしても、俺を持ち上げることができるなんて、どれだけ怪力なんだ。


 とりあえず、助けてくれたみたいだからお礼を言わなければ…。


「おんぎゃぁぁ!」


 あれ?


「おぎゃぁぁぁ!!」


 一体どういうことだ?


 言葉が発せない。なぜだ。


 すると俺を抱っこしているお姉様は、笑顔で俺の額にキスをした。


 なんて柔らかい唇!これが女性の唇なのか!


 お礼のことなど忘れ、俺が一人で盛り上がっている中、お姉様が俺を見つめ、


「可愛い私の子ども…。産まれてきてくれてありがとう」


 と言った。


 確かに、俺の事を見ながら言った。

 いやいやいやいやいや………


「おんぎゃぁぁぁぁぁぁあああああ!?(子どもぉぉぉぉぉぉぉぉお!?)」


 お姉様が…いや、お母様が異様に大きく見えたのは、子供の体だからだったのか。


 そんなクソどうでもいい事を考えながら、俺はまた意識を失った。




次回投稿 2月21日(火)22時

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る