第20話 魔導書を合体
そして二人は洞窟に潜る。
お目当てのモンスターは、かなりの深部にいるらしい。
おふざけムードだったクラリッサだが、一気に雰囲気が引き締まった。やはり本質は真面目な人なのだとアオイは感心する。
彼女は地図を見ずに洞窟の分かれ道を迷わず進む。年季の入った冒険者という感じで頼もしい。
これがマンガなんかだと、自信たっぷりなくせに結局迷子になるというオチがついたかもしれないが、クラリッサはモンスターのところにアオイを導いてくれた。
「いたいた、スケルトン」
前方に、棍棒を持った骸骨がいる。
「攻撃魔法の練習がてら、ボクが倒します。エアロ!」
突風がスケルトンを吹き飛ばし、壁に激突。それでバラバラになった。
強すぎず弱すぎず、丁度いい風を出せた。
単純な攻撃力で考えると、風魔法はほかの属性より弱い。
だが、物体を動かせるというのが便利だ。
上手くやれば、自分を浮かせることもできるかもしれない。
「倒せたけど、キューブは出てこなかったね。次は私が戦う!」
という感じで、二人でスケルトンを倒し続けた。
五体目を倒したところでキューブがドロップした。アイテム化すると……ただの骨が出てきた。
欲しいのは魔導書だ。
倒す。倒す。キューブ。骨。
あの老婆は「魔導書はレアだから根気が必要だよ」と言っていたが、ここまで出ないとは。
もう三十体もスケルトンを倒した。
「飽きたぁ」
「同感です。けどゲームよりはマシです。一日中モンスターを狩っても目当てのアイテムが出ない、なんてのが普通でしたから」
「私、そのゲームってのやったことないから分からないよぉ」
五十体ほど倒し、ようやく魔導書を手に入れた。
死体を一定時間ゾンビにして操る魔法。その名もゾンビーカ。
次は、毒を浄化する魔法だ。
洞窟を歩いていると、やけに色が派手なカエルを発見した。
そのカエルを、大きなヘビが丸呑みにしてしまう。その数秒後、ヘビは痙攣し、動けなくなってしまう。カエルの毒にやられたのだ。
そのヘビにコウモリの群れが襲い掛かり、鋭い牙をヘビに突き刺し、血を吸う。
血には毒が含まれているはずだが、コウモリたちは平然としていた。
あのコウモリは毒への強い耐性があるらしい。
「ファイア」
コウモリの群れを焼き払う。
残念ながらキューブはドロップしなかった。
が、歩いていると、同じことをするチャンスがまた巡ってきた。
「……おっ、キューブから魔導書が出てきた!」
毒を浄化する魔法。ポイズンキュアだ。
無事に二冊の魔導書を手に入れた。
その両方を鞄に入れ、アオイは「合成!」と念じる。
結果、新しい魔導書が完成した。
――――――
名前:ゾンビ・ピュリファイ
属性:光
説明:ゾンビを浄化し、ただの死体に戻す魔法。ゾンビそのものだけでなく、ゾンビを生み出す原因に対しても効果がある。原因の浄化には多大な魔力を消費し、状況によるがMP300以上は必要。
――――――
これこそ求めていた魔導書だ。
しかし予想していなかった新たな障害が現れた。
幽霊屋敷を浄化するためのMPが足りない。
さて、どうしたものか。
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