第4話花火大会
もう春が終わって、暑い暑い夏がやって来た。
私は夏が大嫌いだ。たー君も夏が大嫌いだ。
夏は2人とも大嫌いだが、花火大会だけは好きだ。
毎年夏になると2人で花火大会に行く。家の庭で買ってきた花火をすることもある。それもそれで2人でのんびり出来るので好きだ。
今日は花火大会がある日だ。私とたー君はこの日の為に予定を開けておいたので2人とも朝からウキウキしている。
朝はトーストと目玉焼きとコンソメスープといういつものシンプルな朝ごはんだった。
「今日は浴衣着る?」
私が聞くと、たー君は
「今年も一緒に着る?」
と聞いてきた。
「うん!一緒に着るよ。わーい。今年も、たー君と一緒に浴衣着れるから嬉しすぎて涙出た。」
「それは言い過ぎじゃない?(笑)まあ、嬉しいなら良かったよ。」
そんな会話をしながら朝ご飯を食べ終わった。
いつもは朝ごはんの時はあまり話さないが、今日は2人とも休みだったのもあって、沢山話をした。
浴衣は2人とも何着か持っていて、今日着ていく浴衣選びを今からするところだ。
花火大会までまだ時間があるが、2人とも楽しみすぎてじっとしていられないのだ。
「たー君。浴衣どれがいいー?自分では決められなくて。」
「うーん。そっちの白い花柄のが可愛いね。」
「うん!そしたらそれにするー!」
私はたー君に選んでもらった浴衣を早速着てみた。
「どうかな?」
「よく似合ってるよ。可愛いね。」
私はたー君に褒められて気分が爆上がりして顔が少し赤くなった。
「たー君はどれ着ていくの?」
「俺はこの紺のやつにするよ。」
「わー!すっごい似合ってる。かっこいいよ!」
「ありがとう。そんなに言われると恥ずかしいけど嬉しいよ。」
たー君も少し顔を赤くした。
今はまだ昼過ぎなので少し2人でのんびりする事にした。一緒にDVDを見ることになった。2人ともアクション映画が好きでよく映画館に観に行く。
好きな映画俳優も一緒なのは凄く嬉しかった。
夜になり夜ご飯を食べ終わって、いよいよ花火大会に行く。
「もう行くけど、忘れ物とかない?」
たー君はもう玄関にいて靴を履いている。
「あ、ちょっと待って、ハンカチ持ってかなきゃ。」
ハンカチをバッグに入れて、靴を履いて、たー君と一緒に外に出た。
外は凄く暑かった。花火大会の会場までは歩いて行ける距離だ。たー君と手を繋いで花火大会の会場まで歩いた。途中飲み物を自販機で買った。
私はジャスミン茶で、たー君はコーヒーを買った。
会場には沢山の人でいっぱいだった。私は人混みが大嫌いなので、もう疲れてしまったが、大好きなたー君が横にいて手を繋いでいるから大丈夫だ。
10分くらい経って花火大会が始まった。久しぶりの花火は凄く綺麗で来てよかったなと思った。
私はたー君に「花火綺麗だね!」と言ったが花火の音で声が聞こえなかったらしい。
ま、いっかと思って、ずっと2人で花火を眺めていた。
花火大会が終わり、2人で手を繋いで帰った。
「花火綺麗だったね。また、たー君と行きたいな。」
「綺麗だったね。また来年も行こうね。」
そんな会話をしながら歩いていたら、私の携帯が鳴った。
誰かなと思って出てみたら、高校の時の同級生の、せりなだった。
せりなの彼氏が余命半年と言われたと聞いていたので、何かあったのかと不安に思った。
せりなは泣いていた。
「あのね、彼氏が急に亡くなったの。ゆずのにイラストを頼んでいたのに申し訳なかったなと思って電話したの。」
「そうだったんだね。会いに行けなくてごめんね。イラストは完成したよ。時間が合う時持って行くね。」
「うん。ありがとう。それじゃ、またね。」
電話は切れた。
「誰だったの?」
たー君が聞いてきたので、高校の時の同級生で彼氏が亡くなったと伝えた。
「そうなんだね。それは残念だね。」
「うん。急に余命半年って言われたんだって。それで急だったみたい。残念だよね。」
「うん。今度お墓参りに行こうか。」
「うん。そうだね」
家に着いて、お風呂に入った。今日は特に暑かったのでシャワーで済ませた。
明日は2人とも仕事で、たー君はいつもより出勤が早いので、もう寝ることにした。
今日もたー君と一緒に楽しく過ごせて良かった。
また来年も一緒に花火大会行けますように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます