第四話 中華人民共和国が見せた「無人文明」

 無人コンビニ、無人スーパー、無人タクシー、梱包から配送まですべて無人で行う無人ロボット、無人工場。ドローン世界シェアは実に約9割。それが21世紀の「中華人民共和国」の姿だ。もちろん軍事も無人ドローン兵器が主力だ。もう陸軍であっても体力勝負ですらないのだ。宅配もドローンで完結。日本が誇る「宅急便」文化を過去にした。


 全部これらは広州や上海で見る事が出来る21世紀型文明の最先端の光景である。20年代ともなると21世紀の真の姿をさらす国が現れるのだ。

 

 ちょうど1920年代のアメリカ合衆国が電気文明、マスコミ文化、大量消費社会、自動車文明、航空機文明を築いてそれが20世紀の基礎となったように。


 つまり第一次産業革命はイギリスで起き、第二次産業革命はアメリカで起きた。第一次産業革命は蒸気機関文明、第二次産業革命は電気文明と航空文明と自動車文明である。では第三次産業革命は? たしかにITそのものはアメリカ合衆国発祥である。しかしIoTつまり物のインターネット化を成し遂げたのは中華人民共和国である。なんせ「工場」がリモートワークでこなせるのである。ゆえにシャオミの工場には照明がない。無人だからだ。光熱費代を全部浮かせるというわけである。もちろん人件費も。人間は単純作業ではなく高度なプログラマーといった作業に就き、さらに超・高学歴社会になる。ゆえに中国は大学院進学ブームである。ソフトウエアのプログラミングというのは単に組めばいいというものではなくそのソフトウエアをどうやって社会に反映させるのかが重要ななのだ。ゆえに「職人技」もスマートメガネを通して人の手を学習させてたたき込めばもう職人は要らないのである。つまり「手先の器用さ」はIQに入らないことを意味する。もう工業社会は完全終焉したのだ。


 海南省の港湾に至ってはトラックまで無人運転だ。もう巨大な物流は誰も人の手を必要としない。よってアメリカ合衆国の天下というのはOSとアプリ構築までで……アメリカ合衆国はIoTという真の第三次産業革命を起こせなかったことを意味する。なにせドローンとは究極のIoT商品なのだ。そしてIoTの究極の目標とは「無人文明構築」である。


 そして中華人民共和国が20年代に見せた無人文明とは人口減少社会でも持続可能性社会になる移民が不要になり超・少子化社会になっても経済成長出来るという意味に他ならない。それどころか人類の人口爆発を抑え、食糧難まで解決できるのである。その代償は国民総監視社会である。それは欧米型民主主義社会の敗北でもあるし同時に中国文化の復興にも努める。つまり移民を母国に返し、自国文化を守ることまで出来るのだ。欧米人が言う『多様性』は嘘、偽善となった。現に欧米社会は移民排斥運動が起きているではないか。「人類皆兄弟」などというのはキレイごとである。「DEI」(「Diversity(ダイバーシティ:多様性)」「Equity(エクイティ:公平性)」「Inclusion(インクルージョン:包括性)」)などというものは出来ないどころか亡国と言う事を中華人民共和国はよく知っているのである。移民労働力を使うのならロボットを使えと。


 国民スコアという物が存在する。スコアが低いとECの利用はおろか無人タクシーや無人バスの利用が不可である。破壊させられるかもしれないからだ。よからぬ人物つまり「ペルソナ・ノングラーダ」とされた国民は無人文明から排除させられるのだ。それでいて究極の資本主義国家にして競争社会である。どこが「人民共和国」なのかはともかく。だから中華人民共和国は監視カメラだらけである。


 約30年前は人民服を着てニーハオトイレだった国とはとても思えない。これがデジタルの本質であり模倣なんぞ容易なのだ。つまり後発発展途上国であっても急激に高度成長が出来る。デジタル文明の進化を人は「DX」(デジタルトランスフォーメーション)という。しかし日本人は「DX」を「IT化」だと思っているらしい。実に時代が約25年遅れの国・日本に相応しい。もちろん当の中国人は日本人が言う「DX」を冷笑、嘲笑しているのは言うまでもない。


 ――日本人は現代に生きていない


 かつて1920年代のアメリカ人が当時の時代遅れのイギリス人を馬鹿にしたように今度は特に日本を中国人は馬鹿にするようになった。それが、現実だ。ちなみに中国人にとって重要なハンコ文化はとっくに2000年頃に捨てたのは言うまでもない。だから「いまだにハンコを使ってる」と馬鹿にされる。もう中国は条約締結の時か書道でもない限りハンコレスになっているのだ。


 今後中国は自動車のIoTつまり空飛ぶクルマを全世界に普及させることであろう。もう「EV」どころの次元じゃないのだ。つまりアメリカ文明の中核の一つである自動車文明の終焉も意味する。もしかしたらアメリカ中心の航空文明も終焉するかもしれぬ。中国初の無人旅客航空機の誕生は近い。

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