6月9日(木)

 生憎僕は一人っ子なので、合コンに行く際の服を選ぶにしても、「もう、アンタが合コン〜?仕方ないわね、私がとっておきのコーデを選んであげるわよ」と言ってくれるような姉はいない訳である。そこを恨むのはお門違いなため、僕は渋々大学付近の普段なら入らないような洋服屋に恐る恐る入っている。

 苦しいほどに営業スマイルを向け、服を必死に選んでくれる店員の顔を見るのもそこそこに、Instagramで予め見ておいたコーデ一式を見せ、全て購入し足早に去っていった。そこまでするならネットショッピングを利用しろと思うかもしれない。だがどの店もオンライン販売では届くのが一週間後なのである。

 家に帰り服のタグをすべて切る。ハンガーに一式を掛けてみると、そこだけ''陽''の空気を纏っていてなんとも不思議であった。

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