コーヒー牛乳

とらまる

コーヒー牛乳

小学校の給食の献立で

たま~に牛乳の代わりにコーヒー牛乳が提供されたことがあった


この時は何だか時別な日のような感じがして

予定として掲示されている献立表を見ながら

その日が来るのをワクワクして待っていたものだった


そんな私の気持ちを察してなのか

物知りで成績の良かった同級生の小池君は、得意気にこう言った


「コーヒー牛乳なんて、コーヒーに牛乳混ぜたら出来るんだぜ」


えっ、そうなのか?

そりゃそうだろうけれども、あんなに美味しく出来るものなのか?


私はそう反論したような記憶がある


すると小池君

翌日自分の家へ遊びに来い、と言う


何でも自作の美味しいコーヒー牛乳を飲ませてあげるよ、と

これまた自慢気に言い始めた


おぉ、そりゃ凄い

それでは明日、遊びに行くよ、と約束した



翌日私は学校帰りに同級生の橋本君と一緒に小池君の家へ遊びに行った

何故橋本君と一緒だったのか、は良く思い出せない


小池君の家は街外れの一軒家

そんなに広くもない台所で早速彼の作ったコーヒー牛乳をごちそうになった



意外に美味しい

学校の給食に出て来る瓶のコーヒー牛乳まで、とはいかないが

それなりに飲める味であった


「美味しいじゃん!」


私と橋本君は小池君を褒めた


それがいけなかったのか

小池君は更に、新作を一杯考えたんだ、と次々に飲み物を作り始めた


紅茶に牛乳

緑茶に牛乳

オレンジジュースに牛乳

コーラに牛乳

ファンタグレープに牛乳

三ツ矢サイダーに牛乳・・・・


今思えば悪ノリである


それらはコーヒー牛乳とは違い、毒々しい色合いと妙な匂いがして

私と橋本君は気味が悪くて飲まなかった


自分が作った飲み物を飲んでくれなかったのが面白くなかったのか

小池君は

「絶対美味いよ!美味い物同士混ぜれば美味いに決まってんじゃん!」

と言ってそれらを全て飲み干してしまった



その後、どうなったか



私の記憶では、その翌日小池君は学校を休み、病院へ入院

先生の話では胃腸を悪くした、とのこと


約1週間ほど入院して登校して来た小池君

私達に向かって


「バリウムって飲み物、飲まされた。あんな不味い物はない」

とげっそりした顔でつぶやいていたことを覚えている



今、小池君は消化器内科医として某大学病院に勤めている




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