悪役顔の令嬢だけどコスメの力で破滅逃れます!

@salad86

第1話 始まりのアイメイク

平凡なOLだった私はある日トラックに撥ねられ帰らぬ人に…

と思いきや

目覚めたらそこは宮殿そして鏡に映るきつめの美人顔

私は乙女ゲームの世界の悪役令嬢「アイリス」になっていた


慌てふためくも濁流のように流れ込む今世の記憶を

一週間かけて寝込みながらも整理した

私にはこの世界の記憶も前の世界の記憶もある

そして今私はこの世界でこの国の妃候補として

厳しく育てられてきたことも


そして私が一週間寝込んでる間にゲームでいうところの

エンディングの時間軸になっていたのを知って青ざめた


どうにもならないなか半ば現実逃避的に鏡を見つめる

うーん確かに悪役っちゃ悪役だけど整ってるし髪も肌もきれい

その気がなくても冷たい印象を与えそうではあるけど

そういえばゲームにもやたら睨んだみたいな描写あったっけ

そういう顔に見えるだけじゃないかな…

試しになんとなくくるくる鏡をいろんな角度で見て納得した

うん…これはその気がなくても睨んで見える

アイリス特融の切れ長の大きな青い瞳はこの上なく圧迫感がある

前世ならメイクで印象変えるのになぁ…

なんて現実逃避を続けていて気が付いた

この世界多少はお化粧らしきものがある

ただせいぜい貴族のマナー程度でおしろいを塗るとか頬紅をはたくとか

かなり初歩的なことしかやっていないらしい

この体 アイリスは才色兼備でかなり頭がいいらしく

そのせいか私の前世の記憶は思い出そうとするとかなり詳細に思い出せた

記憶は記憶することと引き出すことの両方が必要なのだから

アイリスの力で私なら引き出せないレベルの細かい情報も引き出せるらしい


そんなわけで私は前世で流し見していたユーチューブのメイク動画を思い出した

アイラインに使えそうなものはあった

そういえば成分こだわり系の美容インフルエンサーの動画も見ていたなー

そこで言っていたことを思い出し

私はアイライナーのようなものを作り出した

とはいっても日本の最先端の化学には及ばない

ウォータープルーフでもないしこすれば落ちてしまう

それでもまあ舞踏会の時間だけ使えれば上々だ


うんばっちり

元は整った顔なんだからこのきつく見える部分の柔らかいブラウンのライナーで足して

黒目の上にもラインを引いて黒く

マスカラはまだないからとりあえずカラスの羽を切って部分用つけまつげを作った

アイリスはまつげばちばちだしそこに糊で重ねれば

よし元の釣り目を生かしたまま大人っぽいながらも柔らかい印象

目は丸く見えるよう強調した

華やかかつ優しそうな印象になった

これなら「睨んでいる」なんて誤解を受けることもないだろう



そして最終兵器

この世界にはないようだから苦労したけど

それだけに見破られることはないだろう

それをこっそり胸元に忍ばせて

いざ 婚約破棄イベントに出陣

今更破棄は免れないだろうけど

このまま運命を粛々と受け入れるなんてしたくない

前世の技術を使って抗ってやる

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