ロボットと花束

はる

序章

 僕はずっと一人だった。父も母も早くに死んで、僕はアンドロイドの親に育てられた。アンドロイドはご飯を作ってくれたり、読み聞かせをしてくれたりしたけれど、僕の要求を正確には汲んでくれなかった。ロボットの腕は冷たかった。僕は人肌に飢えていた。他人は「それでも、お父上が遺したロボットに育てられているからいいではないですか」という。何も分かっちゃいない。僕は呼びかけたら優しく返事してくれる母や、時計いじりが好きで、温かな腕に抱いてくれるような父を求めていた。アンドロイドはプログラムされた行動しかしない。そこには機械の熱しかなかった。

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