母の過去
そういえば、一度だけ。
母から聞いたことがあったっけ。
ボクの父について。
語る母の瞳が、きらきらとして。
まるで、少女漫画に出てくる女の子みたい。って、思ったんだ。
どんなステキな人だろう。
母をこんなに夢中にさせた人なんだから、
きっとステキな人なんだ、と。
できることなら、
写真でもいいから、
会ってみたい。って、その一瞬は、思たんだけど。
母から
「この話は、内緒ね。誰にも、言っちゃ、いけないよ」
って、言われたから。
ボクは、記憶にも、ふたをして。
今まで、思い出すことさえ、なかった。
それを、今、
この、異世界に来て。
魔界で魔王に会って。
魔王から「息子」と呼ばれ。
母の言葉を思い出した。
『+++***』
それは、呪文にも
のちに、それが、ボクの隠し名であることを知る。
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