逡巡してみた。

「見間違えるわけがなかろう」

 男は、言った。

 

だから、信じた、訳ではないが。


ボクの家には、父がいない。

はじめから、いなかったので。

いないのが、当たり前で。

母に追及したこともなかった。

 

今さら、父に会いたいとも思っていなかったが。

突然、目の前に、父と名乗る男があらわれて。

しかも、それが異世界の王で。魔王で。


う~ん。


深く考えるのは、やめよう。


この男の話を聞く限り、

***が、母であることを疑う余地はなさそうだし。

母との共通項をボクに見出しているところを見ると、

きっと、そうなんだろうなぁ、と思えてしまうから、不思議だ。

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