置手紙

時雨 莎祺

置手紙

わたしは、置手紙が好きだ。


わたしは、いつも自分の去り際について考える。


そんな時、必ず頭に浮かんでくるのは、置手紙の存在だった。




こぢんまりとした紙の中に1つ、別れの言葉を仕舞ってある。


別れ際、どこか目を引く場所に置いておく。


残った人がそれに気づき、その紙を見る。


ぶっきらぼうだが情熱的、そしてどこか哀愁を感じさせるただ一つの文字列。


遠いところへ旅立ったその人を想う涙で、左右非対称に折られた紙は濡れていく。




これがわたしの持つ置手紙のイメージ(偏見とも言うが)だ。


自由奔放、人生羈旅じんせいきりょを目指すわたしにとって、別れは日常茶飯事であることは容易に想像できる。


去り際まで道を共にした者を愛し、敬い、想う。


この出会いが、世界で最も充実しているように。


それが惜しくもなくなってしまうということは悲しくはあるが、新たな始まりとして素晴らしい物であると考えている。


人間が一番成長する場面は、別れの時だと思っている。


わたしも、学校の仲間との別れを経験してきた。


それを乗り越えて、人は成長していく。なんだかわたしがまたもう一段階、

強くなれた気がした。

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置手紙 時雨 莎祺 @creeper7

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