第2話
帝都で働くことを決めた青藍はその日の午前中、村長の家へ報告のため訪れていた。
「村長さん、長い間お世話になりました!」
がばっと勢いよく頭を下げた。
この一言では足りないほど、村長には恩がある。
かれこれ十五年間も風呂を借り続けてしまったのだから。
それに村の人々の手伝いを始めた青藍の変化を黙って見守ってくれていたのも実は彼だった。
そのほかにも、ご飯の残り物をもらったりと彼には至れり尽くせりだった。
「フォッフォッフォ 気にするな、青藍」
報告を受けた村長はその小さな体をふるわせるようにして笑った。
「お前のことは小さい時からよく見ておる。
お前なら、きっとどこへ行ってもやってい
けるぞ!」
小さい時から私をたくさん助けてくれた彼の言葉だからこそ信じられる。
青藍はその言葉に背中を押された。
「はい、頑張ります!住所が決まったら手紙
を送りますね!」
彼なら何があった時きっとまた自分の支えになってくれると思った。
「楽しみに待っておる」
こうして青藍は村長の宅を後にしたのだった。
振り返らず、真っ直ぐに歩く。
これからは自分の力でより強く生きたいと思った。
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