【企画用】 カラレス ―ロストルーパー― 【パイロット版】

プレーンシュガー

第0話

 その男は空を見ていた。


 白く濁った空。黒い岩礁に荒々しくぶつかり、重吹しぶく波がその空に光の橋を架ける。


 何もない。波の音だけがあるこの有磯ありそに男は佇み、時折視界に映る天弓てんきゅうをただただ眺めていた。


 「……空虚だ」


 知ってか知らずか、男の口から言葉が漏れた。


 しかし、誰の耳にも入ることはなく、その声は荒波に呑み込まれるようにかき消されてしまった。

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