恋い慕う私を愛しみなさいよ!

@KisaragiRena

第1話 我を愛しみたまへ

「少年よ、そろそろ起きたまたえ」


俺、風早碧はどうやら気づかぬうちに眠ってしまっていたようだ。顔を上げると、クラスも違い、教室も遠い全く関わりのない学校一美しいと言われている彼女、如月麗奈が目の前に立っていた。


暖かな春風に吹かれ、桜の花びらが舞う中、凛と立つ彼女の姿はとても美しく、あまりの美しさに俺は呆然としてしまった。


「よく眠れたのかね?」


彼女が突然話しかけてきたのだ。それに驚いた俺は、ぎこちなく答えた。


「と、とてもよく眠れました…」


とてつもない恥ずかしさに襲われ、自分でも顔が赤くなっているのだろうと、分かるくらいに体が熱くなっていた。


「そんなに、緊張しなくても良いのだぞ…?」


彼女は少し微笑みながらそう言った。今日は午前授業のため、部活などもないのだが如月さんはなぜみんなが下校しているような時間にこの教室にいるのだろうと、突然疑問に思い、彼女に尋ねてみた。


「みんな帰って行っちゃったみたいだけど、如月さんは帰らないの…?」


「そうだなぁ、この場所で待っていれば運命の人に会えるような気がしたのだよ」


俺は運命の人などと言うものには縁のない人生を送っているため、彼女は何を言っているのだろうかと思ってしまった。そんなことを思っていると、彼女が急接近してきた。


「ねぇ、きみ。私を愛しんでよ」


真剣な顔をして彼女はそんなことを言ってきた。その言葉に驚いた俺は目を見開く。彼女の瞳に吸い込まれるように俺は答えた。


「俺で良ければ…。」


のちに俺はこの自分の言葉によって、あんなことやこんなことが起きてしまうなんて思ってもいなかった…。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恋い慕う私を愛しみなさいよ! @KisaragiRena

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る