第496話 07/03 ㈬ ドタキャン

 水曜日。会社は定休日。ベッドの中で時計を確認すると、午後五時を指していた。疲れが全身に広がり、体が重く感じる。普段は一日四時間しか働いていないが、最近の忙しさが積み重なっていた。


 母親がしんどくて動けない。夕食の準備は四時から始まるから、寝坊した!と思ったが、今日は五時からだった。キッチンに立ち、母親の指導の下、慣れない手つきで豚のヒレのソテー、冬瓜のスープと野菜炒めを作る。一生懸命に仕上げた料理をテーブルに並べた。


 食事の後、ふと昔の恋人のことを思い出した。彼女にメールを送る。「週末に居酒屋で飲まないか?」と短いメッセージを打ち込んだ。しばらくすると、彼女から返信が来た。「いつもドタキャンするから嫌だ」との内容だった。心が少し沈んだが、今回は週末料理の手伝いをしなくても良いという母親の承諾を得ているから大丈夫だと返信した。


 その夜、部屋の静寂が心に染みた。返信は来ないまま、時間だけが過ぎていった。彼女との思い出が脳裏に浮かび、懐かしさと切なさが入り混じる。ベッドに横たわりながら、再び時計を見る。外はすっかり暗くなっていた。彼女からの返事を待ち続ける自分が、少し滑稽に思えた。





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