あなただけを見つめてる

米太郎

第1話 あなたが私の元気

「これからも、よろしくお願いします!」


 地下ライブ会場での挨拶。

 私の推しは、今日も元気にライブをしていた。

 この子を見ると元気を分けてもらえる。


 毎週日曜日の夜。

 月曜日から一週間仕事ができるように、ライブを見て英気を養う。


 やっぱりアカネちゃん可愛いな。


 あっ! ‌目が合った!

 えっ? ‌私に笑ってくれた?


 ちょっと! ‌ウインクは反則だよーーー!

 可愛いーーー!


 ライブ会場に私以外に女性客なんていないから. 目立つのかな?


 いつも来てるから、私の事覚えてくれてたりするのかな?


 笑顔もらえただけで、今週は乗り切れそう!


 よし!! ‌頑張ろう!!



 ◇



「どうなっているんだこれ?」


 月曜日の仕事が始まる。

 日々のオフィスワークはつらさしかない。

 課長からは厳しい言葉を浴びせられる毎日。


 課長の席でPC画面を見せられて、ここが間違っていると指摘をもらう。


「申し訳ありません。私のミスです。すぐに直します」


 自席に戻ってPCと向き合い、指摘されたWordファイルをクリックする。


 PCもやる気が無いのか、なかなかファイルを開いてくれない。


 PCが不貞腐れて動いている数秒間、ちらっとPCの隣を見つめる。

 PCの隣には、地下ライブで毎週見ているアカネちゃんの写真が飾ってある。


 今週も頑張るんだ。

 あの子の笑顔を見るために。


 彼女と一緒に撮った笑顔の写真。

 一緒にハートなんか作ったりしてる。

 これが心の支えになっている。


「ここも違うから、今日中にどうにかしてくれよ。 明日にはこの資料が必要なんだ」


「はい、わかりました」


 ‌◇


 日曜日に補充した英気を全て使い切る勢いで、なんとか修正を終わらせたが、かなり遅い時間になってしまった。


 夕飯も食べてないのに、こんな時間か……。何か食べて帰ろう。

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