第2話 猫、えらい
猫、えらい。壁で爪とぎをしない。
「お前ん
「壁、爪とぎしないでほしいかも」と、あらかじめ言ったからかもしれない。
「君の爪とぎ場はこれやで」と、段ボール爪とぎを渡したからかもしれない。
よく分からないが、うちの猫は壁で爪とぎをしない。とてもえらいのである。
壁に限らず、ベッドのマットレスやパソコン椅子でも爪とぎをしない。ビーズクッションなどは使いもしない。
なんと気の利く猫だ、と思うこと山の如し。しかし、猫が唯一段ボール以外で爪とぎをするものがある。
捨てようと思っていたミニ座椅子だ。
人間が「捨てようかな、でもまだ座れるしな……」と粗大ゴミに出す面倒くささからだらだらと残していた古いミニ座椅子を、猫は執拗に爪とぎする。
朝起きてバリバリ。人間が帰宅時にバリバリ。目に入る度にバリバリバリ。
親の仇でもあるかのようにバリバリするので、ミニ座椅子は見事にぷつぷつと穴があいている。
これがもし、
「人間、今にこいつをゴミにしてやるから待っていろ」
という猫なりのメッセージなのだとしたら。
そういう点においても、猫、えらいのである。
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