猫、えらい

佐藤 亘

第1話 猫、えらい

 猫、えらい。人間にトイレをお知らせしてくれる。


「これからおしっこだぜ」という時は控えめに、「これからうんこだぜ」という時は大きな声で何度も鳴く。

「トイレに行く時に鳴くのは内臓に負担があって痛みが云々」とかそういうのは獣医さんに診てもらって事なきを得ているので、どうか安心してほしい。


 猫は人間がうんこを片付けるのを知っている。人間が側に居る時はうんこに砂をかけない。袋に手を突っ込んだ人間が回収するのを、何度も見て学んでいるのだ。

 そのため、猫はうんこをした後平然とトイレから出て、人間が回収するのをじっと見つめる。

 うんこ付き砂まで回収して人間が離れると、臭い消しをするがごとく軽く砂をかける。それが猫のスタンスだ。


 そのため、猫がトイレに行く時に風呂になど入っていると、物凄い怒られる。

「おいてめぇ! 今からうんこだって言ってるだろ!」「ばかやろー! 回収しない気か!」とすごい声で何度も鳴かれる。

 大急ぎで風呂から出ると、猫はトイレのうんこにこんもりと砂をかけている。回収しないならかけておくぞと言わんばかりの山盛りだ。

「すぐ回収できなくてすみませんでした」とヒンヒン言いながら人間は回収する。



 なお、昔は早朝うんこだったのに、人間があまりにも寝汚くて回収が遅いのを知ってから、猫は人間が仕事から帰ってきて大体にするようになった。



 そういう点においても、猫、えらいのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る