第16話 寝たら帝国が味方になりました
俺達はネーマの街を出て、ゼニスを目指す。
「で、ゼニスではどう動く?」
「仮面の騎士団として暴れる。それだけで十分ですよ。それより、隊長への伝言をシューセンドが方々に送っているらしいですよ。『エンを預かった。返してほしくば、100万ゴールドの保釈金を用意しろ』ですって」
「あいつらしい話だよ。何が保釈金だよ。ただ、シューセンドは人の命に価値なんて感じてない男だからな。簡単にエンを殺す可能性がある」
「ですね。だから、僕とミアやメア、ガイナが暴れますので。隊長は、別行動」
スロウはそう言って作戦の全容を話し始めた。
そうこうしている内に、ゼニスが見えてくる。相変わらず、豪勢な外観だ。
商業都市ゼニス。
金大好きのシューセンドによって治められている都市。
港もあり、各国との貿易の窓口として活躍している場所、らしい。
「じゃあ、隊長。作戦通りに。ご武運を」
俺は、スロウと別れ、全力で跳び上がりゼニスの巨大な城壁を飛び越え中に入った。
スロウ達が街の広場まで辿り着くと、そこには、多くの王国兵が集結していた。
「やあやあ、連絡はメジマソクから来ているよ。ようこそ、帝国兵の諸君。そして、さようなら。お前らを引き渡せば、メジマソクから金を引き出せるんだ。大人しく捕まってくれ」
現れたシューセンドは大盾を持って現れ、スロウ達と対峙する。
『命あっての物種』が口癖のシューセンドらしい装備だ。
「……スロウさん、ガナイ、援護頼む!」
「了解~」
「メア様、承知しました」
スロウ達が、一斉に動き出す。
「さあ、生け捕れ!」
シューセンドが叫ぶと同時に、王国兵の集団の中から、一人の仮面騎士が現れる。いつの間にか潜り込んでいたミアだ。それに気付き、シューセンドがあっと声をあげると、王国兵達がばたばたと倒れていく。
「さあ、皆さん、最愛の人に褒めてもらう為の犠牲になってくださいね」
メアは叫びながら、近くにいた兵士に飛び掛かる。
「ミアよりも私の方がネズの役に立ってみせる!」
「くそっ! なんだこいつは! 強い! うわぁぁぁ!」
メアが長剣を素早く振るうと、兵士が斬り刻まれる。
帝国剣技は、手数が多く、その中でもミア・メア姉妹は神速の剣技と言われているらしい。
「いやいや、メアには負けませんよ」
ミアはメアに比べ手数が少ないが的確に鎧の隙間を通して確実に敵を倒していく。
「ひぃ! こいつもヤバイ!」
「怯むな! 相手は少数だ!」
「おい、お前らは俺の相手をしてもらおうか」
メアの後方からガナイが飛び込んでくると王国兵は慌ててそちらに構えなおす。
「くそっ!」
「遅いぞお! オラァ!」
ガナイは槍を振り回し、次々と王国兵を気絶させていく。ガナイは普段は二人のお目付け役と言った感じだが、流石帝国の男、戦闘能力も高い。
「クソッ! 全員で取り押さえろ! 仮面の騎士団は化け物だ!」
シューセンドの指示で王国兵はスロウ達に襲いかかる。しかし、彼らの攻撃は全て避けられるか防がれてしまう。
「お前らの実力はその程度か? 王国の雑魚共がぁ!」
「ぎゃあああ!!」
スロウ達の大暴れを風魔法で聞きながら俺はスロウの指示したルートを通る。
そのルートは最もヤツらが寄り付かない、貧民街だった。
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