大食戦と争奪戦・後
十大奇祭2
一方、別の広場で饅頭を見上げている
「高ぁ…」
ビルで言えば、5階建てを優に超える。想像よりもかなり高い。なんでこないなとこよじ登って饅頭取らなアカンねん…なんなんこの大会…?思いながら半目で塔を見詰める
まぁいい…出来る限りのことはしてみよう…
「さぁ!!始まる平安饅頭争奪戦!!今宵、栄光を手にするのは果たして!?」
───いや、知っとるなこの声。
そして始まるカウントダウン。夜を裂く空砲の合図で、タワーをめがけて一斉に走り出す参加者達。
最終的な狙いは、タワー先端にたったひとつだけ輝くスペシャルな饅頭。手中に収めれば段違いにポイントが貰える。
もう少し、あと少し、あの饅頭を取れば─────…その時。
隣の選手がタワーから足を滑らせた。
一瞬の出来事。考えるより先に手を伸ばして落ちていくその身体をギリギリで捕まえる
掴んだ腕を引っ張り上げてタワーへとしがみつかせると、体勢を立て直し礼を言う選手。
ほどなくして、再び響く空砲。レース終了のお知らせ。全員モゾモゾと塔から降りてもぎ取った饅頭を数えるが、
「すまんオッチャン。全然───…」
「いいんだよ!!見てたよさっきの活躍!!やっぱりヒーローはこうでないと!!」
「
ゼッケンを脱いで戻ってきた
「お疲れ、どうだった?饅頭レース」
「見ての通りやわ。せっかくやし、賞状でも欲しかったんやけどな」
「ね!ちょっと悔しいね」
「これでよかったらあるけど」
代わりになるかなぁと言いながら差し出されたのは、大食い大会優勝のトロフィー。平安饅頭を模した真ん丸フォルムが可愛らしい。
「えっ!?
「うん」
「勝ったもなにもブッちぎり」
驚く
大会開始後、
1人で50個以上を喰らう人間が居ることを想定していなかった運営側は唖然としつつも大絶賛、観客からも止めどない歓声の嵐。
「すごいすごい!!でも、俺が貰っちゃったらなんか悪くない?」
「じゃあ
ハシャギつつも悩む
それから、
後日。
今年の騒動で、大食い大会に用意される饅頭の上限は次回から引き上げを検討され。
優勝インタビューで上手く笑顔を作れなかった
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