宅飲みと鼻歌
千錯万綜4
それからというもの、夜は皆で
食べ終わると
今宵も護衛の役目を済ませた
「
「おう、おかえり
残念だねと呟く
「じゃあ今日は一緒に家帰る?」
「帰る帰る。
椅子に腰を下ろして問う
確かに普段の
「お前、女好きって話だろ?」
「まぁ…間違ってはないけど…」
「気ぃ遣ってるんじゃないの」
女好きを特に否定しない
「誰に」
「
「何で」
「わかんない。
そんな気はしたものの明確な理由はわからないので、
「遊ぶのと住むのとじゃちょっと違うから」
その仕草を見た
「なんだよ!可愛いな
真面目かよと肩を震わす
チャラチャラと
【東風】帰宅後。早々にベッドにダイブする
「なに、
「たまにはね」
「
「寝た」
寝室を覗き込む
くだらない話やどうでもいい話をして酒を
「てか
「ん?あぁ…昔な、同じグループに香港から来てた奴がいて。教えて貰った」
じゃあ前のグループに戻ったらいいじゃんと言う
「もう無いよ、全員死んだ。全滅」
「兄貴がギャングでさ。親が居なかったから
中国都市部にもストリートチルドレンは山程存在する。政府が中央財政から支援金を投入したり救済センターを設けたりと対策を講じているが、正直焼け石に水だ。
「他人から見たら
悪事で生計を立て、裏社会と揉める。よくある話。しかしそういった人間達は往々にして絆が強い事が多い。
「
「置いて行かれたからね。兄貴、いつが決行の日だかウチに隠してて」
返答を聞いて、
「そっからずっと転々としてて…別に決まった居場所もないんだよな」
フウッと紫煙を吹くと、おかわりくれよとグラスのフチを叩く
「…俺も、全滅したよ。同じ村の奴ら」
言いながら手酌をしようとする
「今はみんなが居てくれるけどね」
「なら良かったじゃねーか」
柔らかい表情で締め括る
「
少しの沈黙。あえて視線を下げている
「‘
弾んだ声音を出す
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
数日後、真夜中、路地裏。
「♪〜、♫〜…ん?次なんだっけな…」
鼻歌の途中、歌詞を思い出そうと
「♬〜…違うな、♪〜…?」
歌いながらのんびり薄暗い通りを歩く。何軒か飲み屋を回った帰り道、丑三つ時の九龍に人影は皆無。
しかし────人影は無くとも、人の気配はあった。
それを感じ取ると軽く周りを見渡してルート変更する
ダラダラ進んで目的地へ着くと足を止めて、気怠そうに首を回し開口。
「おい。コソコソしてねぇで出て来いよ」
張り詰めた空気。生
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