流行りとひとつ‘貸し’・前
和気藹々2
「ガッツリ
話によるとこの少女、外から九龍城砦に棄てられた子供のようだ。単に棄てられたのならまだ良かった。棄てた側はマフィアに金を借りている模様…すなわち、売られたという事。
彼女は数日前ほとんど飲まず食わずの状態でスラムに置いていかれたが、
「クラスメイトの飼い犬が居なくなっちゃってさ。探して欲しいって頼まれたんだけど…それくらいなら1人でも出来るかと思って、近所見て回ってたんだよね」
この前も幽霊事件解決したし!と得意げな
「したら、
だがこの少女、
犬と寄り添うように路地裏で縮こまっていた
そしてこの状況である。
「だからさ、何とか助けられないかなぁ?」
「…いうてもな…」
助けたいような気もした。しかし、これでは横取りだ。売った相手がマフィアに金を戻すかこちらがマフィアに金を払うかしなければ収まらない。
「先立つもん無いとどないしようもあらへんて。やけどウチにそんな余裕ないで」
「俺の貯金全部出すから!」
「全然足りひんやろ」
そもそもどこのマフィアが買い手なのかもわからない。
「【飛鷹】、だと思います。お母さんが電話してるの聞いたから…」
耳にしたことのある名前に
「せやったら…そないデカい額ちゃうか…」
口走ってから、失礼だったと思い
「いいんです、わかってます。はした金で売られたんです」
小さな身体をますます小さくする
はした金なんて言葉がこんなに幼い子供から出る。そんなことは九龍城砦では茶飯事だけれど、目の前にしてしまえば冷たくあしらうことも出来ず。
電話を聞いていたのなら売り飛ばされるのはわかっていたはず。けれど母に付いてきた。親を信じて
そういや
難しい顔で黙り込む
「あの、ごめんなさい…私、出て行きますから…!迷惑かけちゃって、ほんとに…っ…」
お菓子美味しかったです、ごちそうさまでした。と震える声で呟く。
「ちょお待ってや。今考えとるから。座っとってええよ」
「とりあえず、今日はウチ
この少女自体の金額はわからずとも、【飛鷹】がどのくらいの額で取り引きをしているのかは割り出せるだろう。
いくらも経たないうちに目星をつける。最近スラム街での子供の増減について調べていたことが役に立ち、市場の売値の相場がすぐに見えてきた。
大体、2万香港ドル。こういってはなんだがやはり安い。これなら何とかなりそうだ。
謝らないでよ、だって申し訳ないもん、いいって言ってるんだからいいの!でも…でも、も何も無いの!
ワチャワチャやっている
‘友達’、か。
楽しそうに笑う
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