旧雨今雨・上
火片と訪問者
旧雨今雨1
「
【宵城】最上階、自室。
部屋の中には虎柄の絨毯でゴロゴロしながら月餅をかじる
ここのところ、
というのも実際に暴力沙汰を起こすわけではなく、水商売の店を開き客に法外な値段をふっかける荒稼ぎ。悪評が広まってくると店舗を畳み場所と名前を変えて同じことをする、それの繰り返し。
儲けているぶんキャストへの金払いは良いようで女性スタッフからの評判は上々。給料がはずめば集まる女の質も上がる、そして吸い寄せられた客がまた金を落とす。困った連鎖だった。
九龍城砦では法律も何も無いのだが、それなりのルールはある。全ては微妙なバランスの上で成り立っており、花街の店鋪も皆それなりにお互いをたてて経営している。客達からあまりにもバカスカ金を
「
「【宵城】は違うの?」
「あ?【
何をもって
「
「まぁ
言いつつ
店舗型
だがとにかく九龍でなら何も気にする必要がない。堂々と色々な
とはいえ、天国側の住人からしたら国を荒らし回る余所者は迷惑千万。
「とっとと巣に帰ってくんねぇかな…」
ため息とともにパイプの煙を吐き出す
このままではいずれ九龍のマフィアや半グレ共も
早目にご退散いただきたい…余計な火の粉が降りかかる前に。
「つうかお前らも巣に帰れよ」
シッシッと追い払う仕草を見せる
「今日もう仕事終わったから暇なんだもん」
「嘘つけよ。
「俺の印象酷くない?」
「ほへはまは月餅はへほはっへはい」
「
平和に過ぎる、いつもと変らない午後。
だがしかし。余計な火の粉は、実はとっくに降りかかっていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ある日の真夜中、【宵城】店内。入口付近で何者かが騒いでいるとスタッフから報告を受け、
こんな時間になんなんだ、迷惑
すると、そこに居た人物は
「
駆け寄り着物に縋り付いて
「いや─────誰、お前?」
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