噂話と仲介屋・後
幽霊騒動2
赤ん坊の泣き声は止むことはなく、どんどん大きくなっているように感じる。反響しているせいで出処の特定がしづらいが…どうやら扉のそば、放置されてボロボロになった木棚の裏あたりからのようだ。
シュッとライターを擦り、影になった部分を
「…猫だな」
まるまる肥えた、太っちょの猫。
なんか見たことあんな?もしやこいつ…ふと思い出し、
「え?この子が鳴いてたってこと?」
「だろ。ガタガタやってたのも、欲求不満で暴れてたんじゃねぇの」
驚く
なんのことはない、オバケの正体とは1匹の野良猫だったのだ。
発情期の猫の鳴き声は人間の赤ちゃんに似ている。それを耳にした子どもたちが騒ぎ出し、この廃墟の雰囲気や謎の音、見えない姿などから話が大きくなったのだろう。
「行くか、
「どこに?」
「ユーレー嫌いの家だよ。多分知り合いだぜこの猫」
颯爽と歩き出す
「おらァ眼鏡!!幽霊連れてきたぜ!!」
言葉と共に【東風】の扉を開けた
「何!?なんで!?何連れてきたの!?」
背後に隠れようとする
「その子、運び屋じゃない?」
かつて【宵城】の従業員だった女性が飼っていた猫。散歩がてらにドラッグの運搬を手伝わされていたようだが…あの時につけていた太い首輪は無くなっていた。
「運び屋やめたんだね、お前」
「腹とか減ってんのかな?何か食うかな?」
そう言いながら、幽霊ではないとわかり安心した
「
またしても出血。自分だけ懐かれないことを嘆く
そこへ仕事を終えた
「んっなんや?猫?」
「あ、
その様子を見ていた
「
仲介屋。依頼人から問題を引き受け、解決出来る人間に中継する仕事。
「え!?駄目やろそない危ないこと!!」
「周りの困りごと解決するくらいならいいじゃん。俺が依頼引き受けるし」
「でも依頼料とか…」
「無くていい。
「なら俺も引き受けようか?」
それをわかっている
「じゃ俺は女の子の依頼人限定でヨロシク」
「
「やめてぇ!?」
キザな表情でキメた
「みんなぁ…」
一同の申し出に
不安げにしていた
「まずはこの猫の飼い主募集とか」
「ん?
「
「俺なの?」
「
「
「高っ!!いらないんじゃなかったの!?」
「ありがとう
「おおきに」
「待ちなさい
ワイワイガヤガヤと騒がしい【東風】店内。 その片隅で、小さな‘仲介屋’は誕生した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます