リターンマッチと霹靂
青松落色7
「っ
「いーから。とりあえず逃げんぞ」
手を引く
起き上がった男が喚きながら
男がよろめき後ずさる。
その隙に、
「なんだよ、足
「そうかも…」
「ったくよぉ」
言うなり
路地の脇の階段に
「またテメェか、チビ」
そう言われ
また?またってなんだ、どっかで会ったことあんのか?男の顔をジッと見てみる。これといって特徴はない…よく居る顔だ。
が、
「…あ?お前、ケツの穴野郎か?」
もしや、
それを左手でいなした
目立たない…というよりは
戦闘になれば
普段それを表に出さないのは面倒だから。基本的にとてつもなく面倒くさがりなので、出来るだけ
したがって、
「オメェごときが俺様に勝てると──…ん?」
倒れた男の向こう側、通路の突きあたりに、誰かが立っているのを認めて
「あぁ?お前いつから居たんだよ」
「今やけど…何してんこれ…」
「何もクソもねぇよ、こっちこい」
おたおたとする
「は?何してん
「
「携帯…?いや、この携帯はええんよ。もう使わんから置いてってん。使い捨てやねん」
「え?そうなの?」
「てか、ここ
「俺、俺。俺のミスだわ。天成楼だつっちまったんだよ」
言いながら
「なんなん、あいつ誰やってん?」
「ケツの穴野郎」
「いやほんま誰やねん」
「あっ
「
会話をしつつしばらく走り、花街の目抜き通りへ。さしあたって追手の気配はない。
近くにあった知り合いの風俗店に入ってやんわりと事情を説明し、待合室を借りて湿布と包帯を貰う。
「
「え、どうして?」
「俺は顔が割れたからな。まぁ
「2回?
「あの人達って…
「その可能性は高いな」
「え、なんでそう思うん」
「
とにかくこの白昼堂々の誘拐未遂だ、もはや九龍に長居する気がないのだろう。
「あいつらが
「ずらかる前に、
憶測が現実味を帯びてきた。やけに静かにしていたここ数日は、このための準備期間だったとでもいうのだろうか。
「つうか、さっき
「15?15歳っちゅう意味?」
「そう。花街の女にも被害が出るかも知れねぇ、
言うと、
スラムの10歳以下なんて目安は関係ない…か。あの時話していた通りだ。
なにやら考えながら包帯を巻いている
「
「ん?んー…1人で出たんは駄目やな…大事なくてよかったけど」
「
「そりゃ
「もともとは
そう言われるとそうだ。携帯のことを伝えておけばよかった、仕事についての話を
「
電話を終えた
「どしたん?」
「お前あれからあの
「
「…俺、あいつ見たことあるわ。あん時より前に」
この時点で、
「レストランに行った日の夜だ。ガラス割って血だらけで出てきた奴」
ガラスが刺さり、血まみれで転がるフードの少年。その隙間から見えた顔。それが指し示す答えは。
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます