暮色と心模様
区区之心3
花街。飲み屋や風俗店が立ち並び、華やかな賑わいとドス黒い犯罪が混在する場所。
だがここは中流区域に近いだけあり、昼間であればそこまで暗い雰囲気もなく街自体もいくらか綺麗に保たれている。
九龍の花街はかなり大きく、様々な区画と隣接している。花街と
1番分かり易い比較は、スラム寄りの界隈と富裕層寄りの界隈。客の質も店自体の質も天と地ほどの差があり、前者の店舗周辺ではさすがに
そう考えると、【宵城】はスラムに近いほうなのに風俗店としては安全だしレベルが高い。そこは九龍一の店舗にまで登り詰めた
来る途中に露店で買ったカットフルーツ盛り合わせパックをつまみつつ、
バレないように物陰にしゃがんで身を潜めて、待機すること30分。
携帯を見ながら
店の裏口で立ち止まると、すぐに扉から
書類のようだ。
「ありがと。助かるよ」
お礼を言う
「…
不満、ではないが、
あまり裏社会の悪いゴタゴタには巻き込みたくないんだろう。それでもどうにか手伝いたいという
「今でも
「嘘言わんで下さい。こんなん、なんも出来てへんのんと同じですよ。待ち合わせやって安全なとこにして、仕事も簡単なんばっか回してくれとるやないですか…そんくらいわかっとりますって」
悔しい気持ちからか、
そういうとこやぞ俺…ガキっぽいわ…。内心で自分自身に悪態をつく。
そんな
「危ないことをやらずに生きていけるなら、それが一番だよ。
それはそうだ。
ただ、そうして守られてばかりでは
「俺やって子供やないですから。ある程度のことは出来ますよ」
「子供扱いしてるんじゃなくて、俺が心配性なだけだよ。俺のせい。
ぐうの音も出ない。
しかも言い方がズルい。力不足なのは
「力不足なのは承知やけど…」
早く追いつきたい。力になりたい。そう思うのに、その背中はいつまでも遠い。
「
若干声が震えた。あかんなぁ、もう。
あれから10年…
当時の
不甲斐なくて、情けなくて、涙が出そうだ。
短い沈黙のあと、
「
「またそうやって」
「本当だよ」
煙を吐きながら言葉を続けた。
「俺は
真面目で実直で懸命な
「だから、これからも俺を支えてよ。頼りにしてるから。ね?」
それを聞いた
納得したような、してないような。
少し雑談して、
「ん…
それから
ワガママだったかな、
自分の想いを優先させ過ぎていた。これじゃあ子供だと思われるのも当たり前で、
「連れてきてくれてありがとう、
「どういたしまして」
笑いかける
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