第11話 ヘレニズム時代の占星術師たち②
ここ数週間の間にPVが多くなりました。
学の無いものが書く拙い文章ですが、読んでいただいてありがとうございます。とても励みになります。
今回は前回の続きです。
‣アテネのアンティオコス(1世紀~2世紀半ば)
アテネに住んでいたとされる占星術師。後の占星術師たちに大きな影響を与えた人物。年代は諸説あるが、大体これくらいの年代に生きていたとされる。後述のポーフィリーよりも年代は前の人。著作本があるが、後に誰かが書き直した形跡があるらしい。著作本は宝典(ほうてん)と呼ばれているが、著作本や原本自体も、その後違う言語で書き移されたものも、何一つ現代には残されていない。しかし後述のレトリウスの文章の中に引用されて残っている。
2009年、学者の先生がアンティオコスの文章を復元しているが、内容は抄訳されたものであるため真偽が問われている。
‣ヴェティウス(ヴィシュアス)・ヴァレンス(120年~175年?)
ヘレニズム時代の占星術師。彼なくしてヘレニズム占星術を語れないとても重要な人物。トルコのアンティオキア出身。エジプト中を旅して知識を得たという。
彼には弟子がいて、弟子向きに本を残している。10巻からなるアンソロジーという論文で、これは所々残っており現代でも読めるようである。哲学的な考え方や、より理にかなった手法で占う方法などが書かれている。さらに152年から160年間の中で占った500ほどのチャートがある。中にはレクティファイした出世図もあるとか。昔の本を参考にしており、またそれらの本を参考にできる立場の人物だったようである(古い書物を手にできる地位や、様々な言語で書かれた文章を解読できるということだと思われる)。
バビロンのテューサーや、ネセプソ、ぺトシリスなどの書いた文章の断片が、ヴァレンスの文章の中に引用されて残っている。アンソロジーの3つの写本は1300年以降のものだが、かなり信頼できるという(全然整理されていないそうだけれど…)。プトレマイオスのことを疑問視しており、彼の影響は受けていないそう。
後にエジプトに定住し、アレクサンドリアに学校を作ったと他の人が書き残している。
175年アレクサンドリアで疫病が流行した。奇しくも彼は同じ年に亡くなっている。疫病が流行したのは歴史として残されているので、憶測ではあるが、この疫病に侵されて亡くなったと思われる。
‣ニカイアのアンティゴナス(138年頃)
ニカイアという都市はヘレニズム時代に各地にあったため、どこのニカイアであったかは分からない。ヴィシュアス・ヴァレンスと同年代に生きた、彼よりも年上の人物。四冊の作品があったらしいが、今現在残されていない。後の占星術師、テーペのヘパエスティオの本の中で引用されている。皇帝が占星術をした時のチャートも残していたらしい。プトレマイオスのことを疑問視していたためか、同じように疑問視していたヴィシュアス・ヴァレンスの本の中で名前が登場する。
‣クリトデモス(2世紀ごろ)
ヴィシュアス・ヴァレンスやニカイアのアンティゴナスと同年代を生きた占星術師。後の占星術師フィルミクス・マテルナスは、クリトデモスの文章は不可解で分かりにくいものだと述べている。彼もまた、ヴィシュアス・ヴァレンスの本の中で登場する。
‣エイブラハム(?)
フィルミクス・マテルナス曰く、アラビア系で博学な人物。エイブラハムはユダヤの家長の名前なので、本人はその名前ではなく、別に本名があるらしい。
‣アヌビオ(?)
抒情詩で占星術の方法を残していたらしい。賢い人だったそう。
‣マネトー(?)
エジプトの司祭の名前で本を書いている人物。おそらくこの人物も本名は別にあり、偽典を書いたものと思われる。
‣タイアのポーフィリー(3世紀後半)
新プラトン主義のプロティノスの弟子であり、彼もまた新プラトン主義の哲学者であった。
ポーフィリーハウスシステムで名前が知られている。このハウスシステムは、ポーフィリーが使用する前から存在したそうだが、彼がよく使用していたため、ポーフィリーと呼ばれている。
彼が学んでいた新プラトン主義では、占星術を禁止しておらず、プロティノスという占星術のテキストがあるほどだったという。その影響からか、ポーフィリー自身も占星術を行ったのかもしれない。彼はアポテレスマフィカの解説書を出し、プトレマイオスの定義まで述べている。
ポーフィリーの残した作品を後の占星術師が引用している。後の占星術師であるテーペのヘパエスティオもその一人で、彼の作品の序文には、ポーフィリーの残した文章を載せているそう。
続く…
次回でヘレニズム期の占星術師の説明は最後になります。
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