第26話 僕の失敗?

 最初はうまく行き、調子に乗った彼ら。

 あるとき、ミッションとして、宗教的活動をする集団へと潜入をした。


「気を付けろ。相手は人数も多い」

「りょ。スリーマンセルで相互警戒」

 広大な敷地を有する組織。

 十字架の立つ、墓地の横をフル装備で駆け抜けていく。


 併設された祭壇の脇で、一度集合し。作戦を確認。そして散会。裏手などをフォローする指示を出す。

 そして、ファイブマンセルで、4方から二チームずつが、攻撃をすることになっていた。

 バックアップを入れて、作戦は50人の隊員。


 そして皆が離れた祭壇。壁に突然目が開く。いや、目が浮かび上がってきた。

「こちらポイントP。安息の祈りを羊たちは越えた。皆さんもてなしをしてください」

 そう命令がされた後、見た目の変化はないが、敷地全体に騒めきが広がる。


「うん? 風が出たのか?」

 そうつぶやいた後、首筋にチクッとした痛みを感じる。

「うん?」

 首筋に手を当てたまま、その場に倒れる。

 ファイブマンセル。一チームが同時にぱったりと倒れる。

 後方で、フォローしていたBチームは、それを目撃。

 無線で、連絡後。指示に従い、Aチームに近寄っていく。


「意識はないが、呼吸。脈拍正常。デム。顔がない」

 無論幻覚。意識が周辺から、わずかに離れたときに、首筋に痛みを感じる。

「しま……」

 そして、パタリと倒れる。


「おい。NB。駄目です。チームN。AB共に沈黙」

 オペレーターが、指揮車の中で指揮官に伝える。

「他はどうだ?」

「レスポンス。ありません」

「撤退するか」

 そう言ったとき、エンジンと電源が落ちる。


「警戒。銃は使うな。がっ」

 体が麻痺して、動かない。毒。能力か?


 マスクは持っていたが、着ける前に体が動かなくなってしまった。


 そして作戦チーム50人が、その日消息を絶った。



 それを受けて、本部は、もっと大規模な作戦を計画する。

 当然、前チームの救出も含めた計画で。



 消息を絶った、二日目。夜も明け切らぬ早朝。

 総勢。200人。


 先行で、迷彩能力を持った隊員が、5人。

 一チームで先攻する。

 装備を着けている場合、能力のコントロールには苦労をする。


 ハンドサインのみを、駆使して、どんどん施設内へと入っていく。


 そして、地下通路へ、人が出入りを行っているのを発見する。

 気取られないように、侵入をして状態を見る。


 幾千もの、ろうそくがともされ、浮かび上がった祭壇。

 その上に、裸で縛られた隊員達。

 信徒だろう。壇上に上がり、隊員各自を、一人一回ずつ、細い鞭で叩いている。

 もう、全身がみみずばれ状態。


 様子を見て、理解する。

 攻撃を加え、全員が均等に力を受けるためなのだろう。

 と言うことは、列が途切れれば殺される。


 あわてて、影に隠れ、状況を連絡をする。

 すると、ろうそくの明かりだったはずの祭壇が、白い光に包まれ始めた。

 なんだ?

 つい、のこのこと、出て行ってしまう。


 すると、自身の能力。迷彩が光に食われて。その姿を現してしまった。

 当然まだ気がついていないが、近くにいた、チームメイトを見て、あわててハンドサインを送る。

 だが見た方も、おまえもだと返してきた。

 かくして、あっという間に捕らえられ。


 誰も居なくなった祭壇に、縛り付けられる。

 さっきまでいた奴らは、一体何処へ行ったんだ?

 だがすぐに、ぺちぺちと叩かれる痛みで、そんなことも考えられなくなった。

 一回一回は、そんなに痛くはない。だが、ダメージはどんどん積み上がっていく。


 やがて、自分に周りに、縛り付けられる仲間達がどんどん増えていく。

 これじゃあ。奴らを強くする餌じゃないか。


 気絶することも許されず、痛みがどんどん積み上がっていく。

 時間が経ち。懇願する。もう。殺してくれ。心の中で叫ぶが、それすら許されなかった。



 その頃。

 食事をして、その後。勉強をしていたが。

 ふと伸びをして、倒れ込む。

 この所の、過酷な日課。自業自得だが、疲れはある。

 

 花蓮は命令が効いて、近づけないらしく。テーブルの反対側。

 右隣では、杏果ちゃんが宿題をやっている。

 やはり皆ですると、楽しいと分かったようだ。


 その為か安心をして、つい、うとうとしてしまった。


「ねえ。総。さーとーしーくん」

 花蓮が総に声を掛ける。


「ねえ、杏果。足が痺れたの。総に毛布を掛けて」

「あっ。うん」

 その場を離れる。


「タオルケットで良い?」

「うんいいよ。掛けてあげて」

「はーい。男の人って、寝てると子供みたいね」

 そんなことを言って、おなかの上にタオルケットを掛ける。


「ほんと気持ちよさそうね。ちょっと、総の横に引っ張って。足が動かないの」

「うん。でも横に? どうして?」

「そんな物。愛があるからよ。添い寝をするの。あっお金をあげるから、アイスでも買ってくる?」

「そうだね、おやつの時間だね。でもお姉ちゃんが、お金出すって珍しい」

「何要らないの?」

「いる」

「ちょっと寝るからゆっくりで良いわよ。転けないようにね」

「そんなに、子供じゃないもん。行ってきます」


「さて、二日ぶり。頂きます」


 花蓮は総に近寄ると、動けないことを十分知っていたが。欲望に任せ行動をした。

 そして、帰ってきた杏果に目撃される。

「おねえちゃん最悪。何をしているの?」

「えっ?えへ。動けない。腰を持って、動かしてくれない?」

「やだ」

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