第20話 獅子の国 告白
「私達の種族はとても弱いのです。ですからその分子どもを沢山産むのです」
恥ずかしくはあるが、ミューズは話を進める。
ティタンは受け入れてくれるだろうか。
「その為こうして、子どもを授かりたくなるのです。ですが、誰でも、という訳ではなく、好きな人が出来ると起こりやすくて……」
上気した頬と潤んだ瞳で真っ直ぐにティタンを見る。
「あの薬はその発作を抑える為の薬なのです。それがないと私は」
「待ってくれ、話が良くわからない」
ティタンは焦る。
とにかくミューズと距離を置きたい。
今までにない艶やかさを感じてしまい、本能的にヤバいと思った。
「好きな人とは、誰だ? 君がこのような状態になったのはその者が原因なのであろう? ならばそのものを連れてくるから、待っていてくれ」
とにかく冷静さを取り戻さなくてはと、ティタンは思う。
そうでなければ自分に都合が良すぎる事しか言われていない。
「好きなのはあなたです、先程もお伝えしたのに」
泣きそうになっているミューズを見て、慌ててティタンは側による。
「すまない、君を信じていない訳では無いが、まさか俺を好きになってくれるなんて。これは夢かと疑ったくらいだ。だっていつも拒まれていたし」
「ご迷惑になると思い、伝えられませんでした。反対するものも多く、コニーリオはともかくレーヴェにメリットはないですもの。だからタニアさんも私を追い出そうとして、薬を奪ったのです」
「メリットなんて、そんなもの関係ない。ミューズがいてくれたらそれでいいのに」
そう伝えるとミューズは嬉しそうに笑う。
「嬉しいです」
ティタンの首に手を回し、チュッと頬にキスをしてくれた。
(可愛くて、大胆で、もう駄目だ)
ティタンとて男だ。
好きな人に告白され、しかもこのように誘惑されて我慢も出来ない。
自分以外の男が彼女に触れようとしたことも我慢ならない。
「ごめん、一生大事にするから」
そう言って人型に戻り、ミューズの体を強く抱きしめた。
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