気になるイチゴ
菜月 夕
第1話
「気になるイチゴ」
このところ、すこしづつ妹の元気が無くなっていくようだ。
なんとかせねば。ふさぎ込んで引きこもりな妹の口をやっと開かせると「田舎のおじいちゃんのイチゴが食べたい」と。
でも、あの辺りにイチゴなんてあったかな。もう祖父もあの家も無い。
どうする。。。久しぶりに行ってみるか。
久しぶりの田舎は記憶のままだった。
「ところでどんなイチゴだったの?」妹に聞くと。
「木になるイチゴ!おじいちゃんがそう言って採ってきてくれたの。」
は、そんなの聞いた事ないぞ。
何かの木の実だろうか。
心当たりもなく、私は近くに見えた老婆に聞いて見ることにした。
「ああ、金重さんちの子とちごうかのお。ああ、木になるイチゴ?そりゃヤマイチゴだろうさ」
何でも山に良く生えてるし、木苺って言うので家のじいさんならそんな風に言って笑うだろうと。
妹と老婆に聞いた山の開けた藪を探してみると、小さいトゲのついた草に小さくて赤い実が。
二人で採って老婆のところでお礼がてら一緒に食べた。
妹の久しぶりの笑顔が心に響いた。
「こんな所で暮らしたら、妹の病気も良くなるのかなぁ」
ふとつぶやくと、老婆が「それは気鬱の病とちごうかのぉ。ヤマイとチゴうなら、木苺はきにならないから丈夫になるだろうさ」
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気になるイチゴ 菜月 夕 @kaicho_oba
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