第五十一話 名前
「なんで急に姿を表したの?しかも私のことも知っているよね」
サリシアは目の前に現れたリアラの怪物と会話していた。
怪物が自分と話そうとして来たからこそではあるが。
少年のような姿をした怪物。
自分が王であるかのような格好をしていたが振る舞いは王族とは程遠い。
怪物の体は人間のようであり身体全体に謎の黒い紋様のようなものが書いてあった。
「うーん僕の目的の障害かもしれないからでどうかな?」
まるで人間のように頬をかきながら答えるリアラの怪物。
「私を倒すと?」
「うーんどうだろうね、君は強い。正面から対峙して余計にわかった。でもいくら考えても百パーセントどう足掻いても君に勝てないとは思えない」
両腕を広げながら「だって僕は支配者だから」と続けるリアラの怪物。
「支配者」
「そう僕の目的は支配。ありとあらゆるすべての生物を僕の物にするんだ。分かり易くていいだろう」
リアラの怪物としての目的が支配か。
だからこそのあの黒いモヤか。
あれは支配だったんだろう。
サリシアは北門の時に対峙した二人のことを思い出していた。
あの二人は怪物に敗れて操り人形にされたのだろうと。
「で君の前に現れたのは君を支配すればいいやってなったんだよ。最後でも良かったんだけど絶対僕の支配に抵抗する奴らがいるからね。その間に君クラスの戦力が集まって抵抗されると流石に厳しいから。まず始めに君だ。支配して君という武力を使えば早そうじゃないか。他の抵抗する奴やに対して有利になるからね。ということで僕が君の支配者だいいよね」
そういう怪物に対してサリシアは
「私は支配したいという考えを否定しないよ。でも私を支配したいなら勝って見せてよ」
否定するつもりなどない。
リアラの怪物というのはそういう存在として世界に生まれて来るから。
だがだからと言って素直に従う訳にはいかない。
「いいね、分かりやすくて」
怪物はサリシアを前に黒い球体を構える。
サリシアは怪物を前に剣を構える。
「そうそうやり合う前に一ついいかな?」
「何か?」
「僕の名前を名乗っておこうと思ってね」
「名前?」
「僕のことを君たちはリアラの怪物っていっているらしいね。それでもいいけど良かったらこっちで呼んでくれないかな。僕は世界の支配者になるのにその者に正式な一つの名前がないのは不便だからね。君達もあるんだろう。人間っていう種族の名前じゃなくてその者を表す名前が。だから僕もリアラの怪物っていう種族の名前じゃなくて個の名を考えたんだ」
サリシアの前にいるリアラの怪物は宣言でもするかのような言い回しで自分の名前を言い放つ。
「種族はリアラの怪物、名をレクトル」
怪物の名の宣言と共に手の平に浮かべた黒い球体が一気にその力を増大させていく。
その光景を目にしながらサリシアも同じように自身の獲物たる剣に力を込めながら口にした。
「私の名前はサリシア、皆は私のことを剣帝聖女なんて呼んでいる」
サリシアは自然と自分の名前を答えていた。
怪物が自ら宣言したからというのもあるがそうあるべきだと自分も感じたから。
「そっかこれからよろしくね。サリシア」
「そうだねレクトル。もし君が勝ったらだけど、私は負けないし」
「それでいい。さぁ始ようか、剣帝聖女サリシア!!!」
「行くよリアラの怪物、レクトル!!!」
怪物と剣帝聖女の二人がぶつかり合う。
ただどっちが強いか決めるために。
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