第二十三話 魔が差す力
「この扉を開けて残りは三つ、ここから第三門に入るのか、ここからだね」
北門にある魔力の水源は全部で六つの門で閉じられていた。
さらにその上に今ある北門の城塞を作り守りの要とした。
初めの第一門は基本的には誰もが往復ができる。
第二門は魔力の扱いさえできればいることはできる。
第三門ここからは少し話しが変わる。
「大昔の人たちはよくこんな門を作ったよね本当に」
魔力の水源。
初めはただ水溜まりに思われていた。
小さな透明な水があると。
それが溢れ出して世界各地に雨の如く降り注ぐまでは。
そこから世界そのものが塗り替わった。
「さて、開けるか第三門」
それにしてさっきの第一門、第二門とは違って小さな門だね。
まぁその時に門を作れる者が少なかったからだろうけど。
世界が変わってそれでも順応していき考え解明し理解して変わった世界での生き方を広げていった。
全員がみんなの為、自分達の世界為に、なんて考えていなかっただろう。
中にはいたかもしれないけど大抵は自分の為、家族の為、友人の為、そんなのばかりであったがそれで良かった。
むしろ当時の人達は死にものぐるいでその水源を研究をしたのだろう。
それが今に繋がっている。
「濃くなったな、目には見えないけど。こっから第三門」
濃く感じるのは水源そのものに近づいている証拠か。
水源から溢れ出たそれは世界中に広がり混ざっていった。
私達の体内に直接入ったりしたわけじゃないから初めは気がつかなかった。
それが水や土、空気中に混ざっていった。
生きるために水は飲むし、土の中に植物は出来る、呼吸をするのに空気を吸う。
そうやって私達の体内に知らず知らずのうちに吸収しそれが宿った。
「濃く重いな、純度百パーセントの魔力は」
私達はなにかに混ざった魔力を基本的に接種する。
今の世界には水でも食べものでも空気にも混ざっているがそれ其の物自体に触れることは極わずかというよりほぼ零と言っていい。
「純粋な濁りがない魔力なんて普通に生きていたら味わえないんだけど。それどころか触れる機会すらないんだけど」
なれてないとこれは過剰摂取になるね。
体が拒否反応を出すよ。
回復魔法のやり過ぎで人体に対して毒になちゃうのと同じ感じか。
まぁ接種する濃度が違いすぎるから正確にはわからないけど。
「ふぅ」
サリシアは進むために息を整える。
「魔が差す力で魔力なんてよく言ったダジャレだね本当に」
これが自分達の物になるなら魔力なんて言うよ。
初めは理解できなかっただろうね。
でも解明できて利用も出来だすと危なくても使っていきたくなる。
使えば怪我を治せるし光や火や水、身体の補助に物に対しての強化にと他にも聞くだけならいい面が多いしね。
だが所詮は道具。
使い手によっては魔が差すことだってある。
初めは皆危険がないようにと使っていたはずだが使えば使うほどに自分達はこれを使えていると気が緩む。
簡単に生命を消すことができるのにと。
例え使えているとしても道具は道具、力は力として認識しなければいけない。
魔が差す力で魔力。
心は弱い。
力を得れば増長する。
本当にダジャレが過ぎる。
自分達は所詮神ではない。
生物達の頂点ではない。
これは使い方を覚えたが借り物の力であると。
本当の意味で制することなど出来ないと。
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