第二話 仕事
オーガの討伐から数日後サリシアはとんでもなくふてくされていた。
「何も皆してそんなに怒んなくてもいいじゃん」
「いつまでふてくされているんですか?仕事してくださいサリシア」
「だって〜」
あの後結局呼び出されたサリシア。
陛下がとんでもない頭痛だというから城に行ったが『いつもみたいに頭を抱えているだけだろうに全く』と分かっていたため着いた瞬間にそこに居合わせた全員に対して豪快な程に強い回復魔法を当ててピカピカ光らせていた。
サリシアはその場に居た全員に治癒をかけて『全員治したからね』と言ってすぐさま帰るつもりであった。
ただその光景が外も薄暗くなっていた為か、あまりに強くし過ぎたせいか街中からもサリシアの回復魔法の光が確認が出来てしまった。
城の一角それも王が居ると思える場所から聖女様のものと思われる回復魔法の光が発行している。
いきなりこんな状況になり街中では何事かと街中からも確認出来るくらいの規模である聖女様の回復魔法の光、現王であるバング陛下の身になにか起きたのか、もしくは陛下の傍にいる各大臣の誰か、近衛騎士の可能性もと言った話が慌ただしくあちこちで話されていた。
「サリシアよ、お前の力は強いから許可がない時は制限しろと言っておるだろ。おかげで王の身になにか起きたのかと街中で話されていたぞ。まぁ直ちに対処したがそこで仕事だサリシア」
今回のことを受けバングはサリシアならギリギリ断ることのない仕事を頼むことにした。聖女も剣帝にも関係のない仕事を。
「だって聖女に全く関係ない仕事だし」
「私の目には聖女の仕事もあまりしている気がしないのだけど」
「ルルちゃん私結構しっかりやってるよ聖女。大体私の所に来る慌ただしさで私が必要かどうかなんて分かるし」
見れば分かるよ〜というが普通の人ではそんなの無理である。
これはサリシアが理解するのを得意としているからこその芸当であった。
「相変わらず凄いこと言ってるわね」
「え〜ルルちゃんのお祖母様だって出来るんだけど『なんとなく分かるものよ』って言ってたし」
「聖女になる人はやっぱり何処かおかしいのね」
今回頼まれていた仕事にはサリシアだけではなくルルという女性も一緒であった。
サリシアと比べ小柄な体格をしているが大人びた出来る女性の佇まいをした。
この二人、サリシアとルルは幼少期の頃からの知り合いであり親友でルルのお祖母様はサリシアの前任の聖女でもあった。
その為サリシアはルルのお祖母様に頼んでルルと一緒に回復魔法を直々に教わり学習しそののち聖女の地位をルルのお祖母様から継承した。
「ルルちゃんだって私と一緒にお祖母様から教わったから出来るよ」
「その技術は回復魔法の技術じゃないでしょうに。あと口ではなく手を動かしてください。そろそろに次に行かないといけないんだから、子ども達も集まって来ているだろうし」
「子ども達への説明か〜」
「そうよ。サルマニアの回復魔法とこの世界について教えるようにと臨時講師を頼まれたんだから」
今回バングから頼まれていた仕事の内の一つは子ども達の臨時講師をしろというものであった。
聖女が直接サルマニアの回復魔法について話したほうが子ども達も喜ぶだろうとバングは考えていた。
本来はサリシアが臨時講師などしなくてもいいのだが今回は自分の子どももその場に参加するとなってバングも親としての部分が少し出てしまっていた。
「子どもへの資料作成完了っと。さて、そろそろ行くわよサリシア」
「了解、流石に子ども達を待たせるの可哀そうだしね」
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