第三十一話
次の日、僕達は朝早くに聖都を出発してリンガリア王国に帰国を急いだ。なにせあまりにも長く王太弟が不在だと政治に空白が起きて面倒くさいことになる。だから外遊をするのは大変なのだ。今回のことは信託だから簡単に許可がもらえたが普通だと難しい。ただ僕は国外の様子を見てそこから色々学ぶというつもりで外遊に行く許可をもぎ取るつもりだ。僕はまだ未成年で本来なら学園に在籍中だが卒業試験を突破したことで今は自由だが一応学園の所属なのは変わっていない。だから既に成年になっている王族よりも公務が少なく、残っている期間はあと5年しかない。ただルイーズとの結婚は僕の成年とほとんど同時になるし、あと半年ぐらいで僕の誕生日なので事実上自由にできる期間は三年半だ。その間にリクトと一緒に様々なところへ僕は冒険に行きたい。世界中を旅するのは僕の幼い頃からの夢だ。兄上は僕に優しいときと厳しい時があるが母上はいつも僕の味方だ。そして兄上は母上に弱い。だから母上に願って外遊の許可を僕はもらおうと考えている。そしてリクトと一緒に世界中を旅するつもりだ。外遊にルイーズは連れて行けないのでルイーズに会えないのは寂しいが。
僕は神馬シラユキを走らせてリクトの馬はついて来れなさそうだったから僕が付与をして早く動く様にした。そして夕暮れには国境についた。今回は入国で王族だった為何にもせずにただ通れて、リウネ男爵が治める街に到着した。今回も身分証を見せると直ぐに男爵が飛んできて屋敷に泊まることになった。ただ男爵家の人間の僕に対する態度が変わっていた。行きはそこまで気付かなかったが今は彼らは僕を崇拝しているように見える。晩餐の時に僕はそのことを聞いた。
「レオナルド王太弟殿下は私に回復魔法を行使してくださりました。回復魔法は私が聞いたことがない魔法でしたので殿下が聖都にいかれた後に調べさせて頂きました。その結果回復魔法を使える人間は使徒だと知り、我が使用人達は殿下を崇拝する様になったのでしょう。」
「男爵よ、僕が使徒なのは正解だが決して他言無用だ。分かったな。僕は皆にこの事を知られたくない。まあ境界の上層部と王国の首脳陣はしっておるが。皆秘密にしてある。男爵も守らなければ改易の上に斬首であろう。」
「はっ。このレンフォンリウネ必ずや男爵の名にかけて秘密を守り通しまする。」
「良き返事だ。」
「手始めに箝口令を殿下が回復魔法を使われたことにひく。絶対に言うな。」
これで僕の一番の心配は解消されて身バレの心配はかなり減った。だれかがやくそくをやぶらない限り僕が使徒であることはバレないだろう。
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