第二十八話

僕は遂に教皇が待っている部屋の前にたった。僕は自分にいずれ会わなければいけない人間だし神様から会うように頼まれているから絶対に避けられない。それに僕は王族だから堂々としていれば大丈夫と言い聞かせてドアをノックした。直ぐに中からドアを開けられた。中には教皇と聖女と侍女しかいなかった。僕は緊張を隠すように堂々と中に入った。

「君が新たに誕生した加護持ちか。そこに座ってくれ。」

「はい。それより他国の王族をこんな時間に呼び出すなんて不敬では無いんですか。僕を怒らせたら場合によってはキーロクとリンガリアが攻めてくる可能性も有りますが。」

侍女は僕たちにお茶を淹れると去っていった。

「うっそれは辛いが其方は加護を頂いていながら神神には向かうつもりか。」

「言っときますが此処からは極秘事項です。防音結界を貼らせていただきましょう。」

「なんだ?」

「僕は加護を持っているわけでは無くその上の寵愛です。」

「なんだと?それは使徒様以外ありえぬ事。まさかきかたが使徒様だと?」

「あり得ないことではありません。私に神から使徒様が現れると11年ほど前に神託がおりました。ただ此処11年全く現れず諦めていましたが。」

「そうなのか。怪我人を連れて来よう回復魔法を使ってくれ。そして使えたら公表しよう。」

「言っときますけれど使徒の証拠は回復魔法を使えることではありません。神界に行った事がある人間です。師匠あっ間違えた神様が前に会ったとき言っていました。」

「なんだと?」

「まあ良いや。後僕が使徒って公表しないで下さい。」

「しかし」

「じゃあ譲歩しましょう。使徒の存在までは公表して良いです。僕はリンガリア王国の次期国王とキーロク帝国の次期皇帝候補として動くので。それの邪魔になりそうな使徒として公表されるのは避けたいです。ついでに僕が使徒として動くときは仮面とロープをつけましょう。それなら僕だとわからないでしょう?それで良いですか。確か神様から貰ったのがあったので」

「はああ。今日は驚きしかない。老人の体には辛い。まあそれで頼む。後一つ質問だが何故君はキーロク帝国の次期皇帝候補なんだ?」

「僕は母を通じて皇帝陛下の甥で先帝陛下の孫なので」

「そういうことか。取り敢えず試験に行こう。」

「その前にこの話はこの三人の中の秘密です。いいですね。口外したら死ぬので。いま魔法契約をしておきました。」

「どうやって?普通は合意をしないとできないはず。」

「僕だからですよ。」

「使徒はそんな事もできるのか。すごいな。」

「ありがとうございます。」

僕はロープと仮面をアイテムボックスからだして装着して教皇の後を追った。そしてたくさんの怪我人にエリアヒールをかけた。全員の怪我は治っていた。

「使徒様」

教皇が俯いていた。僕は困惑していた。

「使徒様は神の代行者すなわちこの世において1番偉いお方です。」

「そうか」

僕は逆を向いて元の方向に戻って行った。

「どうかここに住んでください。」

「断る。僕には住む場所がある。好きなところにいさせろ。気分が向いたら転移で来る。それでいいな」

「はっ使徒様がお望みならば無理に引き止めはいたしませぬ。」

「うむ。良かろう。」

「しかしながら一つだけ問題があります。使徒様がおいでにいたした以上この国は使徒様のもの。以下に統治すればいいでしょうか。」

「僕は忙しい。良きに計らえ。教皇よ、そちに任せよう。」

「はっありがたきお言葉。私がうまく統治してみせましょう。いちいち使徒様と呼ぶのは大変ですし新しい称号を作成いたしましょう。あと使徒様を証明する身分証と使徒様の公費を献上致さねければ。」

「よきに計らっておけ。教皇よ近う」

「はっ」

僕は教皇の耳を寄せていった。

「リンガリア王国の王宮になにかあったら王太子宛に手紙を送れ。もしくはローザム大公城か領主邸に遅れが僕につくはずだ。あと極秘マークをつけろ。じゃないと官僚たちが見てしまって僕の正体がバレるからな。」

「はっ」

教皇と廊下で話し合いをした。教皇はずっと頭が低くて直ぐに土下座をするような感じだった。そして本部を出た。思いがけないことで僕の立場が皆に知れ渡ってしまった。本当に面倒臭い事この上ない。唯一の救いは僕の王太子としての姿として知れ渡っているわけではないことだ。早くルイーズに会いたい。会おうと思ったら直ぐに会えるが変なのでちゃんと王都に馬で帰るまでは待とう。












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