戦隊レッド、赤ちゃんを拾う!?

@kumakuma0000

第1話 赤ちゃん育てながら、平和って守れますか?


「後は、頼んだぞ、過去のオレ・・・」


 男は誰に聞かせるわけでもなく呟いた。その両手にはまだ小さくて弱々しいが、確かに生きている命を抱きしめて。


「くらえ!!必殺!フルスイング インパクト!!」


 赤いコスチュームに身を包んだ男がそう言い放ち、渾身の一振りを敵に・・・怪人を倒すために振るう。


「おのれ!またしても我々の邪魔を!!だが!次の怪人が必ず貴様らを地獄へ・・・」


 まだお決まりのセリフが途中だったが、言い終わるより早く渾身の一振りが到達した怪人は、爆裂のごとく周囲に元体を。


 肉片を撒き散らして絶命した。音にするならバシャって感じの音をして、文字通り消し飛んだ。


「毎度、毎度どの怪人も死に際のセリフは同じでマジで芸がない・・」


 冷静に冷徹になんの感情もなく言い放ったのは、怪人を爆発のごとく爆裂させた赤いコスチュームを着た男は、ヒーロー結社所属、化学戦隊 サイエンス5 レッドこと「赤井 紅」(23)である。


 世界征服をたくらむ悪の組織、その日本支社から送り込まれる怪人を倒し、平和を保つ為に結成された正義のヒーローチーム。そのリーダー的存在が赤井 紅だ。


「こっちは任務完了、そっちはどうだ」


 紅が無線で聞くと各々返答が返ってくる。


「こちらブルー、こっちも今終わったよー」


「ピンク、とっくに終わってるわ、連絡よこすのが遅すぎるんじゃない?」


「イエロー、終わってんぜ。てか、もー帰ってるわ」


「グリーン、もう終わるからみんな先に帰ってて!すぐに後を追うから!!」


 それぞれの返答を聞き、協調性のなさに嘆きながらもいつもの事かと1人納得し、こたえた。


「了解、じゃあ各自アジトに帰還後、報告してくれ」


 短く言い終えると、返事も聞かず通信を切った。


(なんでみんなこうバラバラなのかなー戦隊なんだから団体行動しようとか思わないのか!?はぁー疲れた。)


 態度と顔には一切出ない為、冷静沈着とかクールだと思われがちだが紅は感情豊かなのだ。豊かすぎて表面に出ないだけで心はいつもパニック状態になっているのは本人以外は誰も知らない。


 アジトに着き、全員の帰りを待ってから、報告会がもといミーティングが始まった。


「じゃあ、まずは蒼から頼む。」そう伝えると金髪イケメンの高身長ナイス・ガイが一歩前にでて報告を始める。


「はいは~い!まず、俺の担当だった怪人について、見た目は完全に、岩だったね・・・岩がくっついてなんとかく人形になったようなヤツだったけど、組み合って力入れたら砕けたね!楽勝だったよ!!」


(いや‥そんな爽やかな笑顔見せられても‥そもそも組み合って砕ける見た目じゃないよ?どうゆうこと?パワープレイにも程がない??)



 紅はそんなことを思いながらも、蒼のパワープレイはいつも通りのことなので、切り替えることにした。


「あ、これが岩怪人の核ね!」ごトリと机の上に核を置いた蒼は、報告は終わりとばかりに元の場所に戻った。


 核とは、怪人を怪人たらしめるモノで、基本的に核を中心に怪人が形成される。


 非常に壊れやすく回収は難しいが、エネルギーがものすごく、色々なものに転用できる。秘密結社はこれわ怪人エネルギーと呼び、基地の電力や紅達の武器もこのエネルギーが使われる。


「じゃあ次に桃、よろしく。」紅が言うとお嬢様の象徴ともいえる、縦巻きロールの髪型をした、百井 桃が前に出る。



「私が遭遇したのは、山奥の川沿いに居ました魚の怪人でしたわ、魚の全身から人の手足が出ておりました、醜悪すぎて、粉々に吹き飛ばしてしまいましたので、核の回収はでしませんでしたわね。以上ですので、私はこれで帰らせて頂きます。」


「お、おぉ。」有無を言わせぬ態度に紅はそれしか言えず。桃は颯爽と帰っていってしまった。


「じゃ、じゃあ次は縁六さ・・」


「次は俺でいいだろ?」紅の言葉を遮って出てきたのは金髪ツリ目の青年、黄色花 王食


 チームの特攻隊長であり、周りの被害を気にしない暴れん坊でよく、紅と衝突する問題児だ。


「俺がやったのはカブトムシの怪人、硬い甲殻に覆われて普通の武器じゃ傷1つつかないのが自慢とか言ってたな、まっ!俺の攻撃には耐えられず木っ端微塵になりやがったがな!!」


 自慢気にそう語るが、彼の攻撃で山が崩れる被害がでている。


「王食、お前はもっと周りの被害を考えろ・・・」


「あぁ!?俺に、指図すんのかよ」睨みつけ立ち上がる王食に無言で見つめ返す紅に、ピリつく雰囲気が漂い始める、


「俺に、指図したいんなら怪人撃破数を超えてからにしやがれ、リーダーさんよぉ」


「撃破数しか取り柄がないから、そこでしか勝負ができないだけだろ、押しつけなんよ」


「あぁ!?ならお前もその数に入れてやろうかぁ!!」殴りかかる王食の拳を止めたのは、紅ではなく・・・


「2人ともやめようや!!仲良くしよ!!」


 王食の拳を止めたのは、成り行き上いつも調停役になる、縁六こと、緑森 縁六。


 顔も体も痩せ細っているが、このチームができる前にあった戦隊チームでレッドを務めていた人物、前チームは開山しまだ若かった紅達を心配しグリーンとして残ることになった。


 基本的におおらかで、怒ることは滅多に無い為こうしてチームでケンカがおこるとその調停役になることが多い。


 使用武器は盾を使い、その盾を攻撃にも使う。


「王食の核はないけど、俺が取ってきているし、被害は出にくい地域を担当してもらってるから最小限ですんでるんだし!ね!!」


「でも、縁六さん!」


「いーの!いーの!!ここは1つね!」


 これを言われると紅も王食も何も言えなくなるのだった。


「じゃ、気を取り直して!僕が倒した怪人はね・・・」


 縁六が話始めようとしたその時だった。


 サイレンが大きな音でなり、建物中に鳴り響いた。


『緊急事態!緊急事態!!都心部で大量の怪人が出現!!避難も間に合っておらず、人質もいる模様!!至急現場に急行してください!!』


 アナウンスが何度も繰り返される!


「蒼!桃に戻ってくるよう連絡!!王食と桃はこの場で待機して、敵の増援に備えて待機、俺、蒼、縁六さんで現場にいく!!」


「チッ!わーったよ!」王食も緊急時には紅の指揮に従う。


 こうして現場に向かう紅達であった。

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