第2話
気がつくと俺は真っ白い空間に居た。
なんだここは?俺はさっきまで見たこともない奴らに暴力を振るわれていたはずたが…
死んだのか?
あぁやっと死ねたのかこれでやっと楽になれる。
死ぬ勇気も無い俺はどん底の人生を歩んでいながら中々死ぬことができなかったのだ。
あぁ思い返すと我ながらクソみたいな最底辺の人生だった。
もしやり直せるなら次は人並みの幸せを手にしたいものだ。
「ならやり直そっか」
そんなことを考えていると目の前に白い人形のモヤのようなものが現れた。
身長はあまり大きく無い。おそらく子供?
小学生ぐらいの男の子のような印象を受ける。
「誰だお前は?」
「僕かい?僕は実態があるようで無いもの。
まぁ人々は私を神なんて呼ぶがそんな事はどうでもいいさ、それより人生をやり直す気はないかい?」
なんだこいつは?いきなり出てきて神だと?
頭おかしいんじゃねーか?
「おいおい、失礼じゃ無いか、せっかく君の為を思って言ってあげてるのに」
なっ、心を読めるのか!?頭おかしい上に気持ち悪いな
「…ほんと失礼だね君って。もう人生やり直しさせてあげないよ…」
「やり直せるのか…?人生を…」
「あぁ、もちろんさ、この世界には死んだ魂が流れて来るんだ。
その中で異常に弱々しい魂を見つけてね。
気になって色々見させてもらったけど大変だったね。私はとても君が不憫に思ってね。
やり直しのチャンスを与えよう。
しかも今回は剣と魔法の世界だ。そして前世ではお金で苦労してたら貴族の息子に転生させてあげるよ」
本当か?人生がやり直しできるのか?
しかも俺が憧れていた剣と魔法の世界?
それに貴族だと?
どんな世界だよ!しかも俺に一方的に都合が良すぎる。なにか企んでいるのか?
何も持ってない俺を騙して何になる?
それとも殴られて意識を失っている間に見ている夢か?
「これは夢じゃないよ現実さ、しかも君を騙す気なんて無いさ、たまたま君を見つけて、今まで不幸だった人間が幸せになったらどんな顔をするのか、そんな偶然と気まぐれが重なっただけさ。僕の気が変わらない内に転生する事をお勧めするよ」
自称神とやらは肩をすくめながらそんな事を言う。
うーん、どうしたものか。
やはり怪しさは拭えないが人並みの幸せには興味がある。
今まで喉から手が出るほど欲しかったものだ。
何秒か、いや、数分ほど考えていたのだろうか、痺れを切らしたようにそいつは
「あぁ、じゃあ早速転生させるからせいぜい幸せになりなよ」
俺はまだ返事をしてないがこの自称神はさっさっと転生の準備を始めたようだ。
こいつは信用することができないが、幸せな人生を歩ましてくれるというならありがたい話だ。
するとだんだんと意識が薄れてきた。
最初の不思議な気持ちなど忘れて人生をやり直せると言う嬉しさから涙が溢れてきた。
人型の自称神はそんな俺を見ながら唇の端を持ち上げた。
それはとても醜悪な顔だったが涙で視界が揺れている俺はそれに気づくことができなかった。
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