diary

エト

黒い波紋

2023年5月4日

一人の少女が、自らの命を絶った。

遺書や、自殺の原因などを記した記録などは残されていなかった。

警察は、学校や少女の家族、友人に聞き込みをして調査をしていた。

しかし、手掛かりになるような情報は出てこなかった。


少女の葬儀は、君が悪いほど良い天気の日に行われた。


まるで、この世を去って清々した、と少女が言っているようだった。



ある日、少女の部屋のクローゼットの奥から、数冊の日記が見つかった。

何の変哲もない、普通の日記だった。

書かれている内容も特に変わったようなことはなかった。

警察も、日記に手掛かりはないと判断した。

しかし、警察と一緒に少女の自殺の原因を調査していた探偵【一条海斗】は、

見逃さなかった。

      ・・・・・・         ・・・・・

少女が残した日記の違和感を。日記に書かれた彼女の苦悩を。




「一条さん、本当にこの日記から、娘の自殺の原因が分かったんですか!?」

「ええ。彼女はとてもうまく言葉をつかって表現していました。普通なら見落とし  てしまうでしょう。読んでいてとても関心しました。」

「教えてください!なぜ、なぜ娘は自殺したんですか!?なぜ、私たちに頼ってくれなかったのですか!?」

「では、お教えいたしましょう。彼女がこの世を去った理由を。」



今からあなたに、少女が残した日記をお見せします。

そこから、少女が自殺した理由を解明してください。

それが私からあなた【一条海斗】への依頼です。










profile

name: 黒崎 実

date of birth: 2007年5月4日

 like: 読書 料理 音楽 ゲーム

hobby: 読書 ピアノ 料理 ゲーム


 

1月17日

小学校の授業で、自分史を作ることになった。

卒業に向けて、自分が小学校の入学式から成長した姿を記録に残すためらしい。

卒業までの期間で完成させなければならない。

写真、どこにあるのかな。帰ってお母さんに聞いてみよう。



1月29日

今日から自分史を作り始めた。

皆の写真を見せてもらった。とてもかわいかった。

私もみせた。かわいいねと言ってもらえた。とてもうれしかった。

先生から、この量の写真では、ぎりぎりになるかもしれないと言われた。



2月27日

自分史が完成した。うまく作ることができてよかった。

先生や、みんなからも褒めてもらえた。とてもうれしかった。

お母さんとお父さんにも見せた。お父さんとお母さんは、ぱらぱらとページをめくって、よくできているといってくれた。



3月10日

今日は、小学校の卒業式だった。みんな、おしゃれな袴や、お洋服をきていた。

自分で選んだそうだ。とてもうれしそうだった。

私は、お母さんが買った服を着た。

友達と写真を撮った。やっぱり写真は苦手だ。


来週は、お母さんとお姉ちゃんと水族館に行く。

とても楽しみだ。



3月19日

今日は、お母さんとお姉ちゃんと推測間に行く予定だった。

だけど、お母さんが、チケットの枚数を間違えて予約してしまっていた。

1枚足りなかった。私は、留守番していなさいと言われた。

お姉ちゃんは、春から高校生で忙しくなる。だから、お姉ちゃんを連れて行くとお母さんは言っていた。私とはまた今度一緒に行くと約束してくれた。

お母さんは、病気になってから物忘れをすることが多くなったけど、約束は覚えていてくれるよね。水族館に行ける日が楽しみだ。




「まず、実さんが小学校を卒業するまでの日記。お母さん、これから何か気づくことはありませんか?」

「いいえ、わかりません・・・。普通の日記のように思えます。」

「そうですか。すでにここまでで、実さんのことがいくつか記されてあります。

もう一度、よく考えてみてください。」


さて、どうですか?あなたは、どんな情報を得ることができましたか?

ここから、さらにたくさんのことが分かってきます。

実さんの思いを読み取り、伝えることができるのはあなただけです。



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