第42話

 4人で食事をした後、壱と圭さんは連絡を取り合って週1ー2回は一緒に料理をしたりしていると壱が楽しそうに教えてくれた。

 一緒に料理を作り、半分をアパートに持ち帰る。なかなか凝った料理を作っていた。

 

 平日の午後、圭さんの休みの日に行って壱は、ピアノも弾いているらしい。

 

 早先生のピアノを借りて弾く日もあるよで、圭さんが生のピアノ演奏が大好きで、毎回、壱が躊躇していても、椋ちゃんには了解は取っているとから大丈夫だと言われれば、弾こうって気になるけど、俺が逆の立場なら複雑な心境だと、真剣に僕に言っていた。


 僕は、特に何も思わないが、早先生はどうだろ。あえて聞くのも気が引けるので、何も言わない。


 4月に入り、

「一井先生とは、もうすぐ一緒に働けなくなるんだ、淋しいな、…圭なんか最近ずっと元気がないようだ」

 早先生が、スタッフと僕の送別会の打ち合わせ後、ぼそっと言った。


「えっ、圭さん、…壱ですか?」


「そのようだ、あの2人あんなに仲良くなると思わなかった」


「そうですねえ、壱も圭さんの話を良くするし、楽しそうです」


「ああ、距離が離れたらどうなるか?まあ、どうにかなるな」

と、早先生は締めた。


 僕も当事者じゃないので、(はい)と言って終わらせた。


 4月半ばの日曜日に、

「5月初めには、引っ越しするから、送るのだけそろそろまとめないいと」

 1月以来、一切引っ越しの話はしなかったが、もうそろそろこのアパートを引き払う時期だったので僕は、壱に言った。


「殆ど処分するんだよな、処分屋予約する、いつが良い」


「4月の末日にしようか、ダメならその前後の日、任せる」


「わかった。俺も成の家に住んでも良い?」


「えっ、自分家に帰ったら?」


「ダメだ、寂しい」


「1ー2日考えさせて、即答は難しい」


「ああ」


「壱は、仕事は考えていないのかな?」


「考えている、東京に戻ったら真剣に考えてみる」


「わかった」


 僕の実家に壱が入るのはどうしようか、迷う

部屋は空いている、両親は曾祖父の家だ。

 こっちの続きで壱に家政婦になってもらうのか、…絶対にダメだ。

 僕と壱の関係ってこれからどうなるのかわからない。


 壱は、僕次第ってスタンスで、今は尽くしてくれる。

 まあ昔から、尽くしてくれるのは変わりないが、依存していた僕に飽きたのか…

前と違うのは、僕が変わった?事か?

壱が我を通すのを辞めた事か?


 わからないがとりあえず一緒に住むか?

もしかして僕も寂しい…のか?。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る