第5話 小さな毛玉

「はあ、よっしゃー!間に合ったー!

 間に合ったぞしょ…」


 そういって振り返ると、そこに翔の姿はなかった











「お前、一人なのか?」


 そのころ、翔はダンボールにしゃべりかけていた


「三毛のメス、1か月半ってとこか」


 ダンボールの中には、衰弱しきった小さな毛玉がいた


「ミィィィ!」


 その毛玉―――三毛猫は、目は開いたばかり、やせ細っていて、冷え切っていながらも必死に威嚇していた


「だいじょうぶだぞー、俺が助けてやるからなー」


 幸い、翔の両親は犬・猫の保護ボランティアに参加していて、翔が猫好きなのも相まってよく猫の世話はしていた

 翔は自分がつけていたマフラーをダンボールにそっと入れた


「結構揺れるけどすこし我慢してくれよ…」


「ミィ」


 三毛猫はそう弱く鳴くと、マフラーにくるまって寝息を立て始めた


「かわいいやつめ…」


 そうつぶやくと、翔は駆け出した



隕石飛来まで残り15分…

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