83:800年の解放
いよいよ扉が開ききり、反省室の中へと冴内は入っていった。後ろの方ではりゅう君が「また何かあったら連絡するよ~それじゃぁオジサンまたねぇ~」といって立体映像通信を終えていた。
冴内が反省室の中に入ると部屋の中央部に夢の中でみた氷のようなクリスタルの中に閉じ込められている少女がいるのを見た。
神の中の神と自称するだけあって、とんでもなく美しい容姿であった。実在する地球上の人間というよりも、あまりにも整い過ぎてゲームなどで出てくるCGで描かれた美しいキャラクターのようだった。
さて、ここからが問題である。いよいよこうして対面したのはいいが、このクリスタルの中からどうやって少女を取り出せばいいのだろうか・・・
そうしているとクリスタルの中の少女の胸の辺りが光始めて彼女の声が聞こえてきた。
「おお!お前様よ!本当に来てくれたのじゃな!しかもこんなに早く来てくれるとは思わなんだぞ!それによくぞ、うまいこと話せたのう、ワシを閉じ込めたアヤツは相当怖くて強くて頑固ものじゃからアヤツに会えたとしてもアヤツを説得するのは正直無理かもしれんと思っとったよ。しかしさすがお前様じゃ、まさかこの短期間でここまでたどり着きしかもアヤツを説得できたとは・・・やはり愛のチカラは偉大なんじゃのう」
とりあえず冴内はオジサンドラゴンがすっかり800年も忘れていたということは心の中にしまい込んで墓場まで持っていこうと決心した。
「君をその中から解放するにはどうしたらいい?」
「えっ?そんなもんお前様のチョップで叩き割ったらいいんじゃないのか?」
「えぇっ!?そんな!チョップで叩き割ったりなんかして大丈夫なの?一緒に君まで粉々に砕けたりしないの!?」
「ダイジョブダイジョブ!それくらいで割れたりせんよ・・・多分・・・」
「た・・・多分ーーーッ!?」
「いや、大丈夫だって!マジでガチで大丈夫だって!ワシこれでも頑丈じゃから大丈夫じゃ」
「いや・・・しかし、大丈夫かなぁ・・・」
「ヘーキヘーキ!お前様のチョップでガーンと一発やってくれガーンと!」
「うーん・・・大丈夫かなぁ・・・」
「ホレ、はようやっとくれ、はようやってくれないとワシおしっこもれそうじゃ」
「えっそれは大変だ!分かった!じゃあいくよ!」
おいおい800年もそんな状態だったのになんで今おしっこもれそうなんだよ。ってか気づけよ冴内。
「ようし行くぞ!せぇのぉっ・・・」
「トリャーーーーー!!」
!!!バリィィーーーン!!!
「ギィヤァーーーーーッッ!!」(神の中の神)
「ギィヤァーーーーーッッ!!」(冴内)
「ギィヤァーーーーーッッ!!」(りゅう君)
「ギィヤァーーーーーッッ!!」(力堂達)
「ヒヒィィーーーーーッッ!!」(アリオン)
「なんちゃって!なんちゃってーッ!」(テヘペロッ!)
「おぉまぁえぇーーーッッ!!」(力堂達と作者)
コイツ、本当に反省しているんだろうかと作者自身書いていて不安になってきたが物語を続けることにする。
「やっと・・・やっと出れた・・・やっとシャバに出れた・・・」シャバはやめろって。
「お前様・・・お前様・・・うわぁぁーーーーん!お前様ぁぁーーーー!!」と、どう見ても10歳くらいの自称800歳の神の中の神は冴内に抱き着いて泣きじゃくった。
ありえない程この世のものとは思えない程美しい少女はギャン泣きした。冴内のヘルメットに搭載されたアクションカメラからはギャン泣きして鼻水をダラダラ垂れ流しているありえない程この世のものとは思えない程美しい少女の姿をしっかり録画し続けていた。
冴内はしっかりと少女が落ち着くまでずっと抱き続けていた。「800年間よく我慢してきたね・・・うん?我慢?おっと!大変だ!君、おしっこしたいんだったよね!?」
「うん、それはウソじゃ、お前様を急かすためについた、スマン」
「あ・・・そうなんだ、それなら良かった・・・」
「そうだ、君、寒く無い?お腹減ってない?」
「ウン、大丈夫じゃ・・・それよりもお前様、ワシにも名前をつけてくれんか?」
「えっ何?名前?って、君・・・名前はないの?」
「ないことはないけど♪ー♪♪ーー♪といっても、お前様達人間はうまく発音できないじゃろ?」
「えっ?今の金属音みたいな音が名前なの?」
「そうじゃ、わしらの言葉というか波動思念だと、わしの名前は♪ー♪♪ーー♪になるのじゃ。じゃからお前様達の言葉では言いにくいじゃろう?」
「それにこの姿じゃとお前様と結婚するには少し幼過ぎると思ってのう。あのシーラとかいうおなごのようなすがたかたちの方がお前様もはっするするじゃろう?」
「ハッスルはさておいても、それと名前とどう関係あるの?」
「名前をもらえればわしはもっとすーぱーに美しくなるぞ!それこそお前様の望むピッチピチのムッチムチのボインボインになってみせようぞ!お前様もなんやかんやいうてもすけべぇなオスなんじゃのうキッシシシシ・・・」
ありえない程この世のものとは思えない程美しい少女の可憐な口から楽器の美しい音色のような声でかなりオヤジが入った下品なセリフが出てくるのにはかなり参った。
「いやいきなり名前と言われても・・・」と、そこで何故かまたしても閃いた。冴内は冴えないくせにたまに閃く時がある。
「優(ゆう)って名前はどう?」
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